日本代表が初の8強入りを果たし、列島を熱狂の渦に巻き込んでいる「ラグビーW杯2019日本大会」も、3位決定戦と決勝戦を残すのみとなった。
エリス杯の「エリス」って誰?
出場4か国とカードをおさらいすると(世界ランクは2019年10月31日時点)
<3位決定戦(11月1日18時~、東京スタジアム)>
■ニュージーランド(世界ランク3位)―ウェールズ(同4位)
<決勝戦(11月2日18時~、横浜国際総合競技場)>
■イングランド(同1位)―南アフリカ(同2位)
世界ランク上位4か国の対戦となっているわけだが、これはW杯期間中にも順位が変動するため、不思議な話ではない。また、ラグビーはサッカーと違って「たまたまに入った」、「オウンゴール」...といった偶発的な得点がない「肉弾戦」の連続である。そう考えれば、極めて順当な組み合わせと言えるだろう。
さて、優勝国に与えられるトロフィーだが、ラグビーの場合は「ウェブ・エリス・カップ」(通称、エリス杯)と呼ばれる。この名称は、ラグビーの起源に深く関わっている。
まず「ラグビー」という競技名だが、実は「学校」の名前だということをご存じだろうか? ラグビー校は、今もイングランドにあるパブリック・スクール(名門私立校)で、英国内でも屈指の進学校として知られる。
そして「ラグビー」という競技は、1800年代、同校に通っていたウィリアム・ウェブ・エリスという少年が「フットボールの最中に突然、ボールを持って走り出した」ということが起源とされている。しかし、この話に関しては、確かな文献も残っていないようで、真偽のほどは定かではない。
ということで、ラグビー校が競技の原点であり、トロフィーは「ボールを持って走った」とされるエリス少年の名を取って「エリス杯」となっている。不確定要素が多いラグビーの起源だが、「エリス杯」を掲げるために、世界の屈強なラガーマンたちが戦っていることだけは間違いない。
「優勝国しか素手で触れない」唯一無二の存在
ところで、その「エリス杯」だが、高さ38センチ、重さは4.5キロほどだと言われている。杯の台座部分には、W杯優勝国名が刻印されており、過去、ニュージーランドが3回(最多)、オーストラリアと南アが2回ずつ、イングランドが1回という4か国名しか刻まれていない。
また、エリス杯には「優勝国のメンバーしか素手で触れてはならない」という厳格なルールがある。エリス杯は、今大会でも開催各地を順に巡って行ったが、日本の係員は必ず「白手袋の着用」が義務付けられていた。ラグビー界にとっては、それほど崇高な唯一無二の存在だということだ。
今回の決勝戦はイングランド―南ア。エリス杯に名を刻むのは、2回目のイングランドか、南アがニュージーランドに並ぶ最多3回目となるか――。
2019年11月2日、世界中のファンが、その時を待ち望んでいる。
(J-CASTニュース編集部 山田大介)