利子どころか...「手数料」払ってお金預ける時代に? 銀行苦境で導入議論

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1つの口座につき2000~3000円のコストが

   口座維持手数料は銀行が預金者から口座で預金を預かる「保管料」を徴収すると考えればわかりやすいだろう。銀行は1口座について年間2000~3000円のコストがかかっているとされ、その一部でも預金者に負ってもらう形だ。

   手数料の議論は2017年11月、中曽宏・日銀副総裁(当時。現大和総研理事長)が講演で「適正な対価を求めずに銀行が預金口座を維持し続けるのは困難になってきている」と発言。全国銀行協会の平野信行会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長=当時)が翌月の会見で、「努力して理解を得たうえで必要な手数料をいただくのが適当ではないか」と述べ、一瞬、議論になりかけたが、すぐ立ち消えに。

   しかしここにきて、日銀の鈴木人司審議委員が2019年8月末、熊本市での講演で、「貸出金利が一段と低下した場合、収益の下押し圧力に耐え切れなくなった金融機関が預金に手数料等を賦課し、預金金利を実質的にマイナス化させることも考えられる」と言及し、議論に再点火した形。鈴木氏は元三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)副頭取とあって、大手行の本音との見方も出る。

   実際の口座維持手数料はどうなのか。フランスでは年額20ユーロ(約2400円)程度の手数料を取るのが一般的で、米国でも預金が一定水準以下の口座に手数料を課す場合がある。実は日本でも、米金融大手の日本法人だったシティバンク銀行が個人向けに預金口座で、残高が30万円未満だと口座維持手数料を徴収される仕組みを導入。同行は日本を撤退したが、引き継いだ三井住友FG系のSMBC信託銀行が今でも一定条件を満たさないと月2,000円の手数料を取っている。

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