南アルプスで滑落の4日後に救助
冬山登山の富士山は、強風も吹いて特に危険だとされており、装備を固めた山のベテランらでも、度々滑落事故が起きている。
朝日新聞の2016年11月23日付朝刊記事によると、山岳会所属の男性と大学山岳部員の2人が、山頂に近い9合目付近で滑落し、標高差約900メートル下で遺体となって発見された。このことについて、当時の警察は、「斜面は雪が堅く凍結したアイスバーン状態で、スケートリンクのような感じ。一度スリップしたら止めるのは不可能だ」と取材に話していたという。
ただ、富士山ではないが、滑落して助かるケースも過去に報じられている。
静岡新聞の1992年5月7日付朝刊記事によると、南アルプス・聖岳の北斜面で滑落した会社員男性は、4日後に奥赤石沢で動けなくなっているところを救助されたが、そこは、滑落場所の稜線から1キロほども下にあるところだった。
男性が左足を骨折しても助かったのは、運だけではなかったらしい。この男性とみられる人は、山専用サイト「ヤマレコ」で、20年以上経ってその体験を語っており、今回をきっかけに再びネット上で注目を集めている。
それによると、猛スピードで落ちながらも、身に着けたピッケルを雪に刺して滑落をストップさせるのに成功した。その後も、ザックに入れたシュラフや食糧を頼りにビバーグして夜を明かしていたという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)