強烈左フックと老獪さは要警戒も... 井上尚弥の次戦「フィリピンの閃光」ドネアの実力は?

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KO負けは5年ないが...井上のパンチ力なら

   サウスポースタイルでフットワークを駆使して左右に動き回るヤングに対して、ドネアは序盤、ステップワークについていけず、なかなか狙いを定めることが出来なった。2回終了間際にはヤングの左右パンチを受けバランスを崩す場面も。かつてのドネアならば、相手の素早いフットワークを持ち前のスピードと強打で封じてきたが、得意の左フックにつなげるまでに苦戦し、一発狙いの粗さが目立った。

   その一方で伝家の宝刀、左フックの威力は相変わらずで、6回に左フック一発でヤングを仕留めた。プレッシャーのかけ方に全盛期の迫力は見られなかったものの、ベテランらしい老獪さがみてとれた。フィニッシュとなった左フックを当てるために右ボディーで相手の注意を引き、ガードが下がったところに左を打ち込んだ。強引にボディーを攻め、最後に左フックをもっていくのはドネアの得意とする攻撃パターンでもある。

   ここ最近の試合を見てみると、被弾する確率が高くなっている。もともとガードでパンチを防ぐというよりも、抜群の反射神経でパンチを見切るタイプ。ただ、最近ではスピードのある軽いパンチをよけきれない場面がみられるようになった。耐久性に関しては、5年前のKO負け以来、一度もKO負けがないものの、規格外の井上のパンチ力をもってすればKO決着は十分にあるだろう。

   井上は10月28日に行った公開練習の際、ドネアの「キャリア」に警戒心を抱いた。数々の修羅場をくぐってきたドネアの経験、そしていまだ衰えを見せない左フックの威力と当てカンを警戒しているのだろう。井上がスピード、パンチ力、防御技術においてドネアを上回っているのは明らかで、早い回で勝負が決する可能性もある。一方で、衰えたとはいえ一撃で試合をひっくり返すドネアのパンチ力は決して侮れない。世界が注目するバンタム級決戦は11月7日、ゴングが鳴らされる。

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