「物言う株主」が排除される?
問題は、経営への関与を目指さない外国の運用会社などの投資などとどう区別するかだ。中小型株なら数億円の投資で「1%」に達してしまう。現在、日本の株式市場の売買代金の6割以上を海外投資家が占め、株式保有比率も3割に達しており、今回の規制強化で海外投資家が投資を控えると、日本の株式市場の下落を招きかねない。
これについて政府は、海外からの懸念に対応し、経営に関与する意図のない外国の資産運用会社などは事前の届け出制の対象外とすると説明している。
ただ、なお問題は残る。「経営に関与しない」のが条件だから、アクティビストといわれる「物言う株主」の排除につながるとの懸念だ。過去、「乗っ取り屋」といわれたケースもあるが、近年では株主提案を通じて企業に経営改善を求めるアクティビストは企業統治(コーポレート・ガバナンス)の上で重要な役割を果たしてきている。財務省は届け出免除の対象の基準として「役員に就任しない」「事業の譲渡・廃止などを提案しない」などを例示しているが、アクティビストは不採算事業からの撤退などを株主提案することも珍しくないし、企業の不祥事に絡んで役員を送り込むといったケースもある。「こうした活動が鈍れば、企業統治改革が後退しかねない」(アナリスト)との声は少なくない。