巨人がFA戦線に向けて本格的に始動する。フリーエージェント(FA)有資格者が権利を行使できる手続き期間が2019年10月24日、スタートした。ソフトバンクの福田秀平外野手(30)が25日に権利の行使を表明し、今年のFA宣言第1号となった。各球団それぞれ、FA権を有する選手の動向を伺いながら獲得へ向けて本格的な調査を開始。今年のFA戦線が動き始めた。
ここ数年、毎年のようにFAで選手を補強してきた巨人は、今年もFA戦線に参戦する構えだ。巨人が動向を注視している選手は、ロッテの益田直也投手(29)、鈴木大地内野手(30)、楽天・美馬学投手(33)だ。27日にFA宣言した美馬に関しては一部スポーツ紙が、巨人が獲得に向けて本格的な調査を開始したと報道。ロッテの2選手についても補強ポイントと合致している。
昨年は長野、内海のベテラン2選手が人的補償に
巨人が熱視線を送る3選手は、いずれも金銭もしくは人的補償が必要となる「Aランク」、「Bランク」とみられる。この3選手は複数の球団が獲得に向けて調査を行っており、争奪戦となることは必至。楽天のローテーション投手・美馬にはヤクルト、ロッテなど複数球団が興味を示しており、交渉が解禁となる11月3日に早速、交渉に入ることになりそうだ。
巨人が意中の選手の獲得に成功した場合に生じるのが「人的補償問題」だ。昨年は、広島から丸佳浩外野手(30)、西武から炭谷銀仁朗捕手(32)をFAで獲得。丸、炭谷の獲得に伴い、人的補償が発生した。広島には長野久義外野手(34)、西武には内海哲也投手(37)が人的補償として移籍。巨人のベテラン生え抜きの移籍は、球界に衝撃が走った。
FA宣言をして他球団に移籍する場合、前球団内での年俸が上位3位までの選手が「Aランク」、4位から10位までが「Bランク」とされ、移籍の際に金銭もしくは人的補償が必要となる。11位以下の「Cランク」の選手はいずれの補償も不要で、今年はソフトバンクの福田がこれにあたる。巨人が動向を注視する3選手はそれぞれ補償が必要なランクの選手とみられる。
過去には若手の一岡が広島に人的補償で移籍
いずれかの補償を必要とする選手がFAで移籍した場合、前球団は移籍先の球団に金銭もしくは人的補償を求めることができる。人的補償を選択した際、移籍先の球団は28人のプロテクトリストを提出する。このリスト内の選手を「指名」することはできないルールとなっている。ただ、この28人から外れた選手は移籍の可能性があり、しかもリストの内容に関して選手には一切、知らされないという。
プロテクトリストの人選においては口外されず不透明だが、昨年の巨人は2人のベテランがリストから外れた。また、過去には2013年オフに広島から大竹寛投手(36)をFAで獲得した際に、若手の一岡竜司投手(28)がリストから外れて人的補償として広島に移籍したこともあり、ベテランだけではなく若い選手がリストから漏れる可能性もある。
今年もFA補強に前向きとみられる巨人だが、これに伴い今年もまた「人的補償」に悩まされそうだ。FAを宣言する選手、残留を表明する選手、権利を有する選手それぞれが意思表示をし始めている。権利を行使する申請期間は11月1日に締め切られ、交渉が可能となる3日に本格的にFA戦線が動き出す。