人事評価見直しの方針も示される
こうした中、9日の労使交渉で上がったのが、部長級・次長級などに相当する「幹部職」や課長級に相当する「基幹職」と呼ばれる中間層の中に、「役割を果たせておらず、周りにマイナスの影響を与えている人がいる」という問題提起だ。
自動運転や電動化の進展で自動車業界の競争軸は変化する中、他社との連携・協業や先端技術への巨額投資などが不可欠。豊田社長は交渉の席上、「競争力と人間力という2つの力を身につけた人材がこれからのトヨタには必要」と話したという。こうした人材の育成を強化するため、社内外から信頼される「人間力」や「実行力」を重視した人事評価制度へと見直す方針も今回の交渉で示された。
トヨタは既に、一時金や賃金を成果に基づいて評価する制度を導入しており、「頑張った人が報われる制度」への転換をさらに進めることになる。積み残しになっていた冬の一時金の行方が注目された今回の交渉だったが、「変われない中間層」に身の振り方を問い、最後のメッセージを出すことが、豊田社長の目的だったとの見方もある。