トヨタ、異例の長期賞与交渉は「変われない中間層」に突き付けたメッセージ?

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   「役割を果たせておらず、周りにマイナスの影響を与えている人がいる」(総務・人事本部の桑田正規副本部長)――トヨタ自動車の労使交渉の中で、労使双方から上がったという声だ。

   継続協議になった2019年冬の一時金(賞与)について、「3.5カ月」(128万円)とすることで合意したトヨタ自動車の労使。夏の支給分と合わせた年間合計分が、労組側が求めていた「6.7カ月分」(248万円)と、結局は9年連続の満額回答で落ち着いたものの、春闘から半年以上にわたった異例の展開に。その背景は。

  • トヨタ自動車。労使交渉の異例展開、その背景は?(イメージ)
    トヨタ自動車。労使交渉の異例展開、その背景は?(イメージ)
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半世紀で初めての異例事態

   「会社は従業員の幸せを願い、従業員は会社の発展を願うという共通基盤に立てた」。10月9日に行われた今秋の労使交渉後の説明会で、トヨタの河合満副社長は労使が価値観を共有できたと意義を強調した。

   春の労使交渉では、豊田章男社長は「今回ほど距離感を感じたことはない。こんなにかみ合っていないのか」などと発言し、トヨタが置かれている危機感が社内で共有されていないことを問題視。経営側は「労使ともに深く反省する」ため、冬分の回答を見送った。2019年3月期で2兆円以上の営業利益をたたき出す中、一時金が通年回答になった1969年以降の半世紀で初めてという異例の事態だった。

   これを受け、労組側は各職場で業務を再度見直し、生産性が低い仕事を選別し改善する取り組みを徹底。その後の変化を見極めようと、豊田社長は春交渉以降、衣浦工場(愛知県碧南市)や田原工場(同県田原市)など、10カ所以上の職場を「アポなし」で視察するなどしてきたという。トヨタ労組の西野勝義執行委員長は「道半ばだが、変わってきたところが認められた」と手応えを口にした。

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