「事件の犯人を特定!」「容疑者の顔画像や経歴は?」「芸能人の〇〇の彼氏は××?」――。刺激的なタイトルとともに、インターネットの検索結果に頻出するトレンドブログ(トレンドアフィリエイト)。
ネット利用者の好奇心に素早く応える一方、デマ拡散や誹謗(ひぼう)中傷、プライバシー侵害の温床になっているとの指摘もある。
J-CASTニュースでは、ブログを運営する20代の女性に取材し、「収益は月6万円。やりがいも、心が痛むときも... トレンドブログ『いかがでしたか?』の裏の本音」で詳報。記事が過激化する背景に迫ったが、関係者から「悪質なブログは一部だけ」との反論があった。
そうした声を上げた一人で、トレンドブログの有料会員制コミュニティー、いわゆるオンラインサロンを主催する30代の山川加奈代さん(仮名)に話を聞いた。
子育ての合間に記事...3つのブログ運営
山川さんはトレンドブログの運営歴が6年以上の古参だ。子育ての合間に記事を書き、ブログの広告収入は月100万円を超えたこともあるという。
「始めたきっかけは子供が産まれて、自宅でなにかできないかと思ったことが大きかったです。図書館で『ウェブサイトで主婦が30万稼ぐ』みたいな本を見つけて稼げそうだというイメージがあって、夫と離婚後、子供の保育園が決まり時間的に余裕ができたタイミングで始めました」
「そのあとネットで調べたら、アドセンス(グーグルの広告配信サービス)を知って、どうやって稼ぐのかを教えて下さる方がいたのですぐにコンタクトを取って、その方が提供しているノウハウを参考にしつつ進めていきました」
最初は芸能系のトレンドブログを開設し、4か月目に月収10万を超えた。山川さんは「話題のCMや、木村拓哉さんの次女とか嵐のメンバーの記事がヒットしました。アクセスが集まるとドメインが強くなって、検索で表示される順位が上がってアクセスが安定していきました」と振り返る。
軌道に乗ってからは、恋愛系に特化したブログも立ち上げ、クラウドソーシングサイトで記事の外注もするように。現在では3つのブログを中心に運営する。
サロン会費は月3万円~。約20人が参加
ブログを始めてから4年後、トレンドブログのオンラインサロンを立ち上げた。
「主婦の方が20人ほどいます。専業主婦の方もいればお仕事されている方もいます。年齢は30代から上が50代くらいまでです」
「参加される動機は、やっぱり収入を増やしたいというのが大きいです。それと家でもできるっていうのとシングルマザーの方が私みたいになりたいという感じで家でなるべく子供をみながらやりたいっていう方が多いですね。あとは、妊娠中の方とかも出産後の生活のことを考えていらっしゃったり、海外在住の方がなにかしらプラスで稼ぎたいとなった時にネット上で稼げるということでたどり着いてくる方も5、6人います」
会費は月3万円から。チャットツールやテレビ電話を使い、主にネタの可否判断や記事の指導を行う。
「事件や芸能系しか知らないと過激化しやすい」
トレンドブログをめぐっては、情報の質が問題視されるケースが少なくない。山川さんもその点は認める。
「稼げるネタとして事件や芸能系しか知らないと過激化しやすいのかなと。ただ、こうした事件系ブログは京都アニメーションの時のようにアドセンスが使えなくなるリスクもあります」
多数の死傷者を出した京都アニメーションへの放火事件では、トレンドブログなどを通じて根拠不明の情報が拡散された。グーグルアドセンスの規約では「危険または中傷的なコンテンツ」「ユーザーの誤解を招くコンテンツ」などを禁止しており、違反すると広告掲載できなくなる場合がある。
「事件系や芸能人のネガティブなネタはもう何年も前から問題視されていました。まさにこういったキーワードでネタ提案してくる方には、アドセンスポリシーの見直しと広告主側のことも考えましょうとアドバイスしています。身近なネタや平和なネタでもアクセスを集めやすいものはあるので、そういったものをもっと知ってほしいです。最近ではVOD記事(動画配信サービスのアフィリエイト<成果報酬型広告>記事)も流行ってます」
山川さんは最後にこう訴えた。
「ちゃんと乱雑している情報を分かりやすくまとめて伝えようとしている人もいるということを知ってほしい。本当にこういうのいいよ、と思って書いている人もいるので」
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)