コンビニエンスストアの全国一律24時間営業を短縮しようという動きがじわじわ広がっている。
業界4位でイオン子会社のミニストップは2019年9月、フランチャイズチェーン(FC)加盟店に営業時間の自由度を持たせるとの方針を示した。一方、最大手のセブン-イレブン・ジャパンをはじめ、時短の全面導入に慎重なチェーンは多く、時短がどこまで拡大するかは見通せない。
ファミマ、ローソンも実験
ミニストップは2021年度にも新しいFC契約の取り組みを開始する計画だ。一律の24時間営業ではなく、FC加盟店が営業時間などを選択できるモデルを新たに作るという。同時に、FC加盟店が本部に支払う「ロイヤルティー」について、売上総利益の一部を支払う従来の仕組みから、最終利益を基に決める仕組みに変える。これにより、FC加盟店が疲弊する要因になっていた人件費などの経費を本部も負担する形になる。
業界2位のファミリーマートは10月中旬から、約600のFC加盟店で営業時間短縮の実験を始めた。約半数は日曜だけの時短営業、残りの約半数は毎日の時短営業を実施する。同社はすでに小規模の実験を行っていたが、加盟店のアンケートで時短を望む店主が全体の半分にも及んだことから、実験を拡大して行うこととした。12月中旬まで実験を続け、影響を検証する。
業界3位のローソンは2020年元旦に全国の約100店で休業する実験を行う。同社は一部店舗で時短を認めているが、実際に時短営業に切り替える店舗は増加しているという。
コンビニの24時間営業については、経済産業省もFC加盟店の負担の大きさを問題視しており、有識者による検討会を設け、FC加盟店主への聞き取り調査を行っている。一方、公正取引委員会も本部とFC加盟店との取引について独占禁止法に違反しないかに関心を示し、調査を行う方針とされている。
24時間営業ならロイヤルティー引き下げ
全国一律24時間営業の見直しは避けられない流れのようにもみえる。だが、コンビニ側の抵抗は決して小さくないのも実情だ。セブン-イレブン・ジャパンを傘下に持つセブン-&アイ・ホールディングスは10月、FC加盟店の利益配分を見直すと発表した。24時間営業を行う店ではロイヤルティーの割合を2%引き下げるなど、利益配分を変える。「本部利益には約100億の影響がある」というにもかかわらず見直しを断行するのは、「24時間営業の持続を図りたいためだろう」(流通関係者)。他のコンビニ各社も同様とみられる。
コンビニ各社が24時間営業を手放したくないと考える背景には24時間営業こそコンビニの基盤だという思いがある。「コンビニは『社会インフラ』と言われるまでに成長した。そこまで認められたのは24時間・365日営業という大前提があったからだ」と流通アナリストは指摘する。
コンビニはどう変わろうとしているのか。「24時間」を超える新たな企業価値を築けるのか。容易に答えは出そうもない。その答えが出るかどうかが、コンビニの時短の広まりのカギを握りそうだ。