「通貨偽造」でお縄になるか?
現在ハリジャンぴらのさんらツイッターユーザーの間では、「関係者の間でひそかに作られた記念品」「小川原湖周辺の原野商法で、詐欺の信ぴょう性を高めるために作られた」さらには「パラレルワールドから流れついた記念硬貨」といった荒唐無稽な仮説まで生まれている。今のところ、正体不明と言わざるを得ない。
とはいえ、コインにははっきり「日本国」「千円」と刻印されている。発行年こそ刻まれていないが、正式な記念硬貨と勘違いされるかもしれない。これはニセ金、通貨偽造罪にあたらないのだろうか。弁護士法人・響の坂口香澄弁護士は取材に対し、以下のように見解を示した。
「実在する硬貨に似せたものを製造すると、通貨偽造罪(刑法148条1項)や模造罪(通貨及証券模造取締法1条)に該当する可能性があります。しかし、実在しない硬貨を製造したとしても、これらの罪に当たることはありません」(坂口弁護士)
とのことである。通貨の偽造は偽通貨の「流通可能性」、すなわち本物と間違えられる可能性が問題になる。偽の通貨で本物の通貨の価値が損なわれるのを防ぐのも通貨偽造罪の目的で、最初から存在しない貨幣を偽造しても、それが本物として流通する可能性が低い、という考え方がある。しかし今回のようなケースが本当にお咎めなしかは解釈が分かれるところで、坂口弁護士は
「今回のように、『記念硬貨かなにかかな?』と思わせるデザインであっても、似ている記念硬貨が発行された記録がない以上、それが通貨として流通するおそれはないと考えられます。したがって,今回見つかった記念メダルを製造することは罪には当たりません。ただし、例えば、言葉巧みにこの記念メダルが記念硬貨であるとして人を騙して、通貨として使用すると詐欺罪にあたる可能性は十分にあります」
とも解説した。
※J-CASTニュース編集部では、引き続き「むつ小川原国家石油備蓄基地開発コイン」についての調査を進めております。情報をお持ちの方は、投稿フォーム(https://secure.j-cast.com/form/post.html)などからご一報ください。