新幹線「スマートEX」で、「スマートさ」が今ひとつな点

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   東海道・山陽新幹線の駅の自動改札機も、紙の切符を使わずにタッチで通過する乗客が増えている。インターネットで東海道・山陽新幹線の座席を予約するシステム「スマートEX」の普及が進んでいるためで、登録者数は2017年9月30日のサービス開始から2年間で300万人を超えた。新幹線で「チケットレス」を定着させることは、JR東海が進めるビッグプロジェクトに向けた布石でもある。

   スマートEXの会費は無料で、クレジットカードを持っていればインターネットから登録できる。その際にSuica(スイカ)やICOCA(イコカ)といった交通系ICカードの番号も登録すれば、新幹線の自動改札機をそのICカードでタッチすれば通過できる。乗車料金は交通系ICカードのチャージから差し引かれるのではなく、クレジットカードに請求される仕組みで、ICカードは「鍵」の役割をするだけだ。

  • スマートEXの公式サイトより
    スマートEXの公式サイトより
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リニアに向けてネット予約を定着させる狙い

   乗車する新幹線はインターネットで予約・変更ができ、スマートフォンからも可能だ。改札を通過する前ならば乗車する列車の変更が何度でも手数料無料でできるため、仕事が長引いたらその場で乗車便を遅らせたり、早く駅に着いたら逆に早めたりもできる。同じようなサービスとして、自動改札機にタッチする専用のICカードを発行する「エクスプレス予約」もあり、指定席の乗客の4割程度はスマートEXかエクスプレス予約を利用しているという。エクスプレス予約は法人契約もできるため企業の利用が多く、スマートEXは個人が多いとみられる。

   こうしたネット予約が普及すると駅で切符を購入する乗客が減るため、切符を販売する駅員の人数や自動券売機を減らすことができ、コスト削減に結びつく。JR東海はこれをさらに進めて、東京・品川と名古屋の間で2027年の開通を目指して建設中のリニア中央新幹線では、ほとんどをネット予約にしようともくろんでいる。現在の東海道・山陽新幹線でネット予約を普及させようと躍起なのは、リニアに向けて利用者にネット予約を定着させる狙いもあるからだ。

   利用者とJRの双方にメリットがあるように一見感じられるスマートEXだが、不便さも残る。例えば、「おとな」と「こども」の合計で最大6人まで予約できるが、複数の人数で予約した場合は駅の窓口や券売機で切符を受け取って、その切符で乗車する必要がある。この場合は自動改札機をタッチで通過できず、セールスポイントの「スマートさ」は今ひとつだ。

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