東京五輪・パラリンピック組織委員会は2019年10月25日、聖火をギリシャから日本に運ぶための特別機「TOKYO2020号」のデザインを発表した。前回の1964年の東京五輪では、日本航空(JAL)が特別機で聖火の輸送を担ったが、今回は全日空(ANA)と共同で輸送する。
特別機はボーイング787-8型機で、ランタンを座席に固定して輸送する。同型機はJAL、ANAの両社が運航しているが、どちらの社の飛行機が特別機になるかは明かされなかった。15年には、政府専用機の買い替えにともなって整備委託先がJALからANAに変更されたことが話題になったばかり。「五輪機」の行方も注目されそうだ。
航空自衛隊松島基地で「聖火到着式」
聖火は20年3月12日にギリシャ・オリンピア市で採火され、ギリシャ国内のリレーを経て3月19日にアテネで引き継ぎ式を行い、日本に向けて出発。3月20日に航空自衛隊松島基地(宮城県東松島市)に到着する。柔道の男子60キロ級で五輪3連覇を果たした野村忠宏さん(44)とレスリング女子55キロ級で五輪3連覇の吉田沙保里さん(34)が、聖火が入ったランタンを持って特別機を降り、宮城県石巻市、東松島市、女川町の子どもたちを迎えて「聖火到着式」を行う。
松島基地は大震災の津波で被災したことで知られ、到着式を被災地で行うことで震災からの復興支援を後押ししたい考え。
組織委では、特別機のデザインコンセプトを
「リレーコンセプト『Hope Lights Our Way/希望の道を、つなごう。』を反映し、機体前部の聖火ランナーとピクトグラムから始まる聖火の炎は、黄土色の大地に乗って、垂直尾翼に記された聖火リレーエンブレムへとつながります」
などと説明。機体全体で聖火リレーによる1本の希望の道を表現した。
発表会では、JALの赤坂祐二社長とANAの平子裕志社長が一緒に特別機の模型をアンベール。聖火リレー公式アンバサダーのサンドウィッチマンの2人が
「ANAさん的には、もう少し青を入れた方が...」
「でも、空が青いですからね」
と突っ込み、会見場を沸かせた。
模型からはどちらかわからず
模型には、ドアの横にJALとANA両社のロゴが入ったが、機体ごとに割り振られる「JA~」といった記号は書き込まれておらず、どちらの社の機体なのかは分からないようになっている。組織委の布村幸彦・副事務総長も
「これはJALさんとANAさんが両社協力のもと、共同で運送いただくことになっているので、『どちらが』ということではない」
と述べるにとどめ、実際の特別機が登場するタイミングについては、
「ギリシャに向かう直前に、デザインができた飛行機がお披露目できるかどうかは、そのタイミングを見ながら検討していくことになる」
などと述べた。
1964年の東京五輪では、JALのDC-6B型1番機「シティ・オブ・トウキョウ(City of Tokyo)」号が聖火特別輸送機としてギリシャからテヘラン、ニューデリー、バンコク、香港、台北などを経て、当時は米国統治下にあった沖縄まで聖火を輸送。沖縄本島を走った後は鹿児島、宮崎、北海道に空輸され。4つのコースに分かれて東京に向かった。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)