自らの選挙区内で寄付行為を行ったとして追及を受けていた菅原一秀経済産業相が2019年10月25日朝、辞任に追い込まれた。
カニやメロンを贈ったとする疑惑に加えて、10月24日発売の「週刊文春」10月31日号が、秘書が地元選挙区で有権者に香典などを配ったとする疑惑を報じたことで、とどめをさされた形だ。菅原氏が「政治の師であり、人生の師」と仰ぐのが菅義偉官房長官だ。その菅氏は、香典をめぐる報道が出た直後から「ご自身で必要な説明を」というフレーズを連呼。きわめて冷淡な対応に終始した。
「政治家として本人も分かってますから」
菅原氏は内閣改造前日の9月10日夜に更新したブログで、安倍晋三首相から電話で経産相就任の打診があったことを「57年間の人生で、経験したことのない感動の瞬間だった」と明かし、菅原氏を推したとみられる菅氏への感謝の言葉をつづっていた。
「そして、国会において政治の師である菅義偉官房長官のご指導の賜物である。菅長官はどんな時も、温かく、そしてきめ細かに指導をしてくださった。政治の師であり、人生の師である」
菅原氏は、菅氏に近い議員による勉強会「令和の会」を立ち上げるなど、非常に関係が近い人物として知られていた。しかし――。
香典問題が報じられたのは10月23日夕方。それ以降、菅氏は突き放したような発言を繰り返した。9月24日午前の会見では、
「政府としては予断を持ってお答えすることは差し控えるべき。いずれにしろ、菅原大臣自身が必要な説明をするべき」
と話した上で、菅原氏から説明を受けたかを確認する質問には「(受けて)おりません」。今後、説明を聞く考えは「ないです」とした。24日夕方の会見でも、
「政治家として本人も分かってますから、大臣ご自身において必要な説明をすべき」
などと繰り返していた。