「エンペラーウェザー」。そんな耳慣れない言葉が、天皇陛下の即位の礼が行われている2019年10月22日、ツイッターなどSNS上で注目を集めている。
「晴れましたね。明治天皇の時も、資料によって違うんですが、(即位の礼の)直前に晴れたといっている人がいるんですね。昭和天皇も非常に晴れ男として知られて、『エンペラーウェザー』と言われたといわれていますので」
「カッコ良すぎる」「天皇陛下にしか使えないスキル」
話題のきっかけになったのは、NHK中継で解説役を務めた京都産業大学准教授・久禮旦雄氏の言葉だ。
22日の東京は、前日からの雨が降り続き、特に午前中は雨脚が強まるタイミングも。宮殿中庭に立つはずだった職員が屋内に留まるなど、即位の礼の進行にも一部影響があった。
ところが、ハイライトというべき「即位礼正殿の儀」が行われる13時が近づくと、都内では雨が急に弱まる。千代田区のJ-CASTニュース編集部でも、雲の合間から青空が見えるように。場所によっては虹も浮かぶなど、天候の鮮やかな変化に、SNS上では「神秘的」といった声が多く上がった。
こうした中飛び出した「エンペラーウェザー」という「パワーワード」に、ツイッター民は一斉に食いついた。「カッコ良すぎる」「天皇陛下にしか使えないスキルなの...すご...えも...」――こんなツイートが相次ぎ、Yahoo!リアルタイム検索のトレンドランキングでも、「エンペラーウェザー」が上位に入った。
昭和天皇は数々の「晴れ男」伝説
「エンペラーウェザー」の言葉が生まれるきっかけになったのは、久禮氏の解説の通り、天皇陛下の祖父にあたる昭和天皇だ。昭和天皇の「晴れ男」ぶりは生前から有名で、
・1928年、即位の礼の前日は雨だったが、当日(11月10日)は晴れる。
・1964年の東京五輪で、前日まで3日連続で雨が降っていたが、出席した開会式(10月10日)では青空が広がった。
・1972年の札幌五輪でも、前日は雪だったが、開会式は晴れ(2月3日)。
・訪欧(1971年)、訪米(1975年)の際にも行く先々で好天に恵まれる。移動中には、季節的に珍しいオーロラとも遭遇。
・地方巡幸の際に「傘が必要だったことはめったにない」(産経2016年7月12日付朝刊)
といったエピソードが残る(過去の新聞報道、気象庁の天候データなどを参照)。こうした昭和天皇が「もたらす」天気を称して言ったのが、「天皇晴れ」という言葉である。「エンペラーウェザー」はその英訳で、訪欧・訪米時に評判を呼んだ(産経2000年6月16日付朝刊)。
ところで、天皇陛下は逆に「雨男」との評判がある。朝日新聞デジタルの2013年11月29日付記事によると、宮内庁関係者の間では以前から有名なエピソードだという。一方でこの記事によると、上皇さまも皇太子時代には「雨男」だったが、即位後にはお出ましの際、好天に恵まれることが多くなったとか。
なお、皇室の祖神として祀られる天照大神(アマテラスオオミカミ)は、太陽の神として知られている。