ユニクロがYouTube上で公開したCM動画の表現をめぐって韓国で批判が寄せられていることについて、ユニクロを展開するファーストリテイリングは2019年10月21日、J-CASTニュースの取材に対し「ご指摘を重く受け止めております」との見解を示すとともに、CMの意図を改めて説明した。
13歳と98歳の女性の会話で展開されるこのCMには、80年前のことを「忘れた」というセリフがあるが、当時は日本が韓国を併合していた時代。韓国メディアで「歴史歪曲とも解釈できる」との指摘があがったほか、動画コメントにも批判の声が寄せられ、韓国でのCM放映を取り下げていた。ファーストリテイリングは元々のCM表現の意図について「『Beyond Generations』をテーマに、年齢差をウイットのある言葉で表したいと思い、上記の表現を使用しました」と説明している。
13歳と98歳の女性が会話するCMで...
ユニクロはCM動画「フリース25周年 Conversation 30sec. UNIQLO 2019 Fall/Winter」と、その15秒版を2019年10月1日に公開した。
いずれも外国人女性のファッションデザイナー(13歳)と服飾品コレクター(98歳)が会話する内容で、13歳女性が「How did you used to dress when you were my age?(日本語字幕=私の年齢の時は、どんな格好をしてたの?)」と尋ねると、98歳女性は
「Oh my god, I can't remember that far back.(同=昔のことは、忘れたわ)」
と答える。13歳女性が「フフッ」と笑い、CMは終わる。
このセリフに反応したのが韓国だった。現在の98歳にとって13歳当時は1930年代。韓国併合によって大韓帝国が大日本帝国の統治下にあった時代であり、日本企業がCMとはいえ98歳女性の口から「忘れた」という言葉が出ることに、批判的な見方が相次いだ。
「嫌悪を助長」など400件超のコメント
韓国メディアの釜山日報は18日、「慰安婦を嘲笑するような広告」(原文韓国語。編集部訳)と批判。CMの「昔のことは、忘れたわ」というセリフが、韓国字幕版だと「昔」ではなく「80年前」と年代が強調される書き方がされていることも問題視した。通信社News1も同日「ともすれば『歴史歪曲』と解釈できる」(同)と報じた。朝鮮日報や中央日報もこのCMを否定的に取り上げている。
YouTubeのCM動画に寄せられたコメントは、21日までに400件を超えている。多くは韓国人とみられるユーザーのもので、韓国語や英語で「意図的に嫌悪を助長するものだ」といった書き込みが殺到。低評価数は高評価数を7倍以上、上回っている。
誠信女子大学の徐敬徳(ソ・ギョンドク)教授も18日、フェイスブックで「完全に意図があるものだ」と糾弾。韓国では日本の輸出管理強化を引き金に、ユニクロをはじめとした日本製品の不買運動が巻き起こっているが、「『不買運動』を超えて、真の『退出運動』を展開しなければならない」としている。
こうした事態を受け、ユニクロは21日に韓国で同CMの放映を停止したと、AFP通信などが報じていた。
「女性おふたりの年齢差がより分かりやすいように」
J-CASTニュースが21日、ユニクロを展開するファーストリテイリングに今回の元々のCM表現の意図を尋ねると、広報担当は
「今年のフリースキャンペーンは、フリースが国や人種、世代を超えて、全世界のすべての人々に楽しんで着ていただけることを表現するのが意図でした。今回のCMでは、『Beyond Generations』をテーマに、年齢差をウイットのある言葉で表したいと思い、上記の表現を使用しました」
と回答。
韓国語版字幕で「80年」という数字を出したことについては、
「フリースが世代を超えて、すべての人々に楽しんで着ていただけることを表現するのが意図でした。そのため、CMに出演している女性おふたり(98歳と13歳)の年齢差がより分かりやすいように、『80年』という数字を入れました」
と説明。そのうえで、韓国のメディアやネット上で批判が相次いでいることに対して
「ご指摘を重く受け止めております」
と見解を示した。
(2019年10月23日追記)見出しと本文について、正確を期すため一部修正しました。