「ナッツアレルギー」キムタク新ドラマで話題に 消費者庁調査でも「著しく増加」

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   木村拓哉さん主演のドラマ「グランメゾン東京」(TBS系)は、初回の冒頭で「ナッツアレルギー」がキーワードのひとつとして登場した。

   木村さん演じる尾花夏樹がパリでのシェフ時代、「ナッツ類のアレルギー」と事前に知らされていたフランスの大臣に出した料理に、使っていないはずのナッツがなぜか混入された模様で、口にした大臣は椅子から転げ落ちた。何者かが意図的に混入したのか――。そもそも「ナッツアレルギー」とは、どのようなものか。厚生労働省や消費者庁の調査研究報告書などから概要をまとめた。

  • キムタク主演の「グランメゾン東京」の放送が始まった(画像はTBS公式サイトより)
    キムタク主演の「グランメゾン東京」の放送が始まった(画像はTBS公式サイトより)
  • キムタク主演の「グランメゾン東京」の放送が始まった(画像はTBS公式サイトより)

混入した「犯人」を推理する人々

   2019年10月20日、「グランメゾン東京」の初回が放送されると、ツイッターでは早くもナッツを混入させた「犯人」は誰なのか、と推理を披露する人が続出している。

   ドラマは、上記の失敗を受けて「すべてを失った」カリスマシェフの尾花が、シェフの早見倫子(演:鈴木京香さん)と「世界最高の三つ星レストラン」を目指して「もう一度夢に向かう、『大人の青春』をかけたヒューマンストーリー」なのだが、「混入の犯人」捜しのミステリー要素も味わえそうだ。また、大臣が倒れた原因が本当に「ナッツの混入」なのかについては、他の可能性の存在にも含みを持たせたようにみえる描写もあり、今後の展開に注目が集まりそうだ。

   放送後のツイッターには、「面白かった」といった感想や「ナッツ混入の犯人」推理に交じって、「3か月前にナッツアレルギーで救急搬送された身としては他人事と思えない」といった記載もあった。

   ナッツアレルギーとは何か。厚生労働科学研究班(厚労省の研究事業)がまとめた「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017」によると、「種実(ナッツ)類アレルギー」については、

「種実(ナッツ)類(クルミ、カシューナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツなど)は、ひとくくりにして除去をする必要はない。個別に症状の有無を確認する」

などと説明がある。ナッツ類は全部ダメ、という訳ではなく個別の種類によってアレルギー症状が出るものと出ないものがある、ということだが、

「ただし、カシューナッツとピスタチオ、クルミとペカンナッツの間には強い交差抗原性がある。どちらかにアレルギーがあれば、両者を除去する必要がある」

という補足説明もある。

   なお、「ピーナッツ(落花生)アレルギー」は別項目で説明されており、

「ピーナッツは豆類であり、種実(ナッツ)類とまとめて除去する必要はない。食物経口負荷試験などによって個々に症状の有無を確認する」

とある。実際、国内の落花生企業でつくる「日本ピーナッツ協会」サイトでも、ピーナッツについて「PEA:草の実、例えば、大豆、あずき等、NUT:木の実、例えば、アーモンド、カシューナッツ等、以上の合成で、ピーナッツは『畑に出来る木の実』という意味です」と説明しており、ナッツに似ている豆類といったニュアンスのようだ。

原因物質の4位で約8%

   また、「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業」(消費者庁)の報告書(2018年度版、解析対象4851人)によると、出現症状では「ショック症状」が「10.8%」で見られた。アレルギーの原因食物の内訳をみると、鶏卵(34.7%)が最大で、「木の実類」は8.2%で4位、「落花生」が5.1%で5位だった。「木の実類」は、前回調査(15年度)の3.3%から約5ポイント上昇しており、報告書でも「増加が著しく」と注視されている。

   さらに「木の実類」の内訳をみると、クルミが251例(木の実類の62.9%)、カシューナッツ82例(同20.6%)、アーモンド21例(同5.3%)と続く。他にも、マカダミアナッツ、カカオ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、ココナッツ、ペカンナッツ、クリの順で報告があったとしている。

   また解析対象全体の年齢層をみると、0歳が31.5%で「2歳まで」が約60%、「18歳まで」で95.5%を占めている。成人の事例は少ないながらも一定の割合で存在しているが、「ナッツアレルギー」に限定した場合はどうか。同報告書の研究代表者や研究協力者が所属する独立行政法人「国立病院機構」相模原病院(神奈川県相模原市)の担当者にJ-CASTニュースが10月21日に確認すると、「ナッツアレルギーの報告例には、大人・成人も含まれている」とのことだった。対象は「何らかの食物を摂取後60分以内に症状が出現し、かつ医療機関を受診したもの」。

「ショック死」報道もあったが...

   記事検索をすると、「ナッツアレルギーで客がショック死 (略)」という見出しで、英国のインド料理店で38歳の客が死亡した件で店主に禁固6年の判決が出たとするAFPの記事(16年5月24日)が見つかったが、記事中では「ピーナッツを含むミックスパウダー」との表記があり、ナッツとピーナッツの区別はあいまいだ。もっとも、国内関係者によると、ナッツとピーナッツと豆類の分類は、海外では国内とは異なる場合がある。

   いずれにせよ、「ナッツアレルギー」に関する知識があると、ドラマ「グランメゾン東京」を一層楽しむことができる――かもしれない。

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