2019年10月19日から20日にかけて、バンダイナムコのゲーム・アニメ音楽のライブイベント「バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル」(バンナムフェス)が東京ドームで行われた。
「アイドルマスター(アイマス)」「ラブライブ!サンシャイン!」「アイカツ!」「ワンダーモモ」の4タイトルのキャストが出演し、アイドルゲームの祭典を華やかに盛り上げた。現地を訪れたJ-CASTニュース記者が、2日目(20日)の様子をレポートする。
「どんなアイドルが出てくるかわからない構成です!」
2日目の公演はバンダイナムコが制作してきた女性アイドルゲームの全タイトルのキャストを集めた、いわば、バンダイナムコが制作してきたアイドルコンテンツによるフェスがコンセプトだ。
オープニングアクトは「アイドルマスター」から「765プロオールスターズ」「シンデレラガールズ」「ミリオンスターズ」が1曲ずつ3曲を歌唱、すると司会の中村繪里子さん(765プロオールスターズ・天海春香役)と松嵜麗さん(シンデレラガールズ・諸星きらり役)から、「(2日目は)どんなアイドルが出てくるかわからない構成です!」との宣言が。アーティスト名を出さずにいきなり楽曲が始まっていく構成で、客席にとっては次に誰が登場するか予想がつかないワクワク感がある。オープニングアクトにアイマスから「シャイニーカラーズ」のユニットが唯一登場しなかったのもその布石だったのだろうか。
トップバッターの「アイカツ!」から5曲が歌わると、続くはアーティストの桃井はるこさんによる「ワンダーモモ」と「ワンダーモモーイ」だ。1987年、当時のナムコが制作したアイドルゲーム「ワンダーモモ」の主題歌が、かつてこのゲームをプレイしていた桃井さんらにより2005年にリメイクされ「ワンダーモモーイ」となり、ゲーム「太鼓の達人」にまで採用。80年代から現在に至るまでの楽曲が、同じセットリストに載ったところに、アイドルゲームの進化の歴史が垣間見られる。
12年越しの共演に「まさかこんなことになるとは...」
セットリストの中でも、全43曲中半数以上の26曲を占めた「アイドルマスター」シリーズは、4つのタイトルから合計13ユニットの楽曲が歌われるなど、バンダイナムコのゲームコンテンツの中でもフラッグシップぶりを発揮し、初の東京ドーム公演でプロデューサー(プレイヤーの通称)を大いに沸かせた。
特筆すべきは、タイトルこそ同じ「アイドルマスター」だが、設定・配役を一新したロボットアニメ「アイドルマスター XENOGLOSSIA(ゼノグラシア)」(2007年放映)までもコンテンツに数えられたことだ。「微熱SOS!!」(橋本みゆきさん)、「残酷よ希望となれ」(結城アイラさん)の主題歌2曲が披露されたが、既にライブも後半で十分温まった客席は変わらぬ大歓声とコールで応える。さらに結城さんは自らの作詞曲「Fairy Taleじゃいられない」を今井麻美さん(如月千早役)、田所あずささん(最上静香役)とともに歌唱し、「本家」とのコラボも叶うことに。「まさかこんなことになるとは...」(結城さん)と、12年越しの共演に喜びを隠せずにいた。
空気を変えた「刺客」
東京ドームがアイマスの「ホームグラウンド」になったかのようなバンナムフェス2日目だったが、フェス形式のこの公演では「ラブライブ!サンシャイン!」からユニット「Guilty Kiss」の3人、逢田梨香子さん(桜内梨子役)、小林愛香さん(津島善子役)、鈴木愛奈さん(小原鞠莉役)が出演した。セットリストがアイマス一色の空気の中に登場するや「Strawberry Trapper」「Guilty Night, Guilty Kiss!」「Guilty Eyes Fever」「コワレヤスキ」「Shadow gate to love」「New Romantic Sailors」とアッパーな6曲を立て続けに披露、息の合ったフォーメーションダンスでも客席を沸かせ、イメージカラーの紫色にドームを染め上げた。
直後のMCで中村さんをして「最高で最強でさいかわ(=最もカワイイ)じゃなかったですか!?」と言わしめ、アイマス曲続きだった中盤のセットリストの中で絶妙なアクセントをもたらした。これも予告なしのフェス形式だったがためのサプライズ効果だろう。
「いつかまたここに戻って来れたら」
このバンナムフェスでは、アイドルマスターにとって初めての東京ドーム公演ということで、プロデューサーからは「あるセリフ」を聞けることが期待されていた。天海春香の「ドームですよっ!ドームっっ!」という、最初期のアーケード版ゲームから採用されていたセリフだ。ゲームの中で「ドーム公演」を一つの目標としてきたがため、初の東京ドームライブはキャストにとってもプロデューサーにとっても感慨深く、それがライブそのものの熱気を高めていた。
しかし春香役の中村さんは、多くのプロデューサーが期待したこのセリフを最後まで口にしなかった。そして、2020年に15周年というメモリアルイヤーを迎えることと、各タイトルのさらなる展開を期待させるアナウンスの後、「いつかまたここ(東京ドーム)に戻って来れたら」「その時まで、その大事な言葉は取っておきます」と語ったのだった。
もしかすると、メモリアルイヤーにもう一度ここでアイドルとキャストに会えるかもしれない――そんな希望を中村さんは、この「合い言葉」でプロデューサーに与えた。折しも終演後、2020年にもバンナムフェスの開催決定の知らせがスクリーンに映し出され、「再会」は決して夢物語ではない期待を抱かせている。15年間をかけてバンダイナムコのフラッグシップ的コンテンツにまで成長したアイマスの歴史を大いに祝して、2日目は幕を閉じた。
(J-CASTニュース編集部 大宮 高史)