限界迎えつつある従来の経営手法
もともとセブン&アイのルーツはイトーヨーカ堂であり、そこが始めたコンビニがセブン-イレブンだった。外食のデニーズジャパンを合わせた3社が2005年、持ち株会社のセブン&アイを設立し、そごうと西武百貨店を傘下に置いたミレニアムリテイリングを2006年に完全子会社にしたことで、現在のセブン&アイの企業グループ群が形成された。こうした拡大路線を主導した人物が、日本でセブン-イレブンを立ち上げ、長くセブン&アイのトップに君臨した鈴木敏文氏だった。
業容は拡大したが、構造的な不振に苦しむ百貨店と総合スーパーを好調なコンビニが支える事業構造から抜け出せず、その立て直しが、かねてから経営課題だった。その鈴木氏がセブン&アイの経営から離れた2016年を境にリストラが本格化していたところ、2019年になって、コンビニの24時間営業に対するフランチャイズ加盟店の反発が表面化。また、沖縄県への出店によってセブン-イレブンは全都道府県に店舗網を構えたことになり、新規出店で売り上げを伸ばし続けてきた従来の経営手法も限界を迎えつつある。
今回踏み切るリストラは、セブン-イレブンが頭打ちになる前に不採算の百貨店と総合スーパーを閉鎖する「外科手術」の側面がある。百貨店は首都圏の好立地にある店舗が中心となるが、ネット通販との競合といった構造的な問題は解消されたわけではない。コンビニを日本に定着させたような先進的な一手を打てなければ、いかにセブン&アイといえども規模縮小のスパイラルから抜け出すことは容易ではない。