何の因果だろうか――。
ラグビー日本代表は、2019年10月20日、「4強」をかけて南アフリカ戦(東京スタジアム)を迎える。実はこの日は、日本ラグビー界で「Mr.ラグビー」と呼ばれた平尾誠二さん(享年53)の命日だ。
「平尾代表監督の元でできたことが大きな財産」
予選プールを4連勝の首位で突破した日本代表を率いるのが、ニュージーランド代表、日本代表でもプレーしたジェイミー・ジョセフHC(ヘッド・コーチ)だ。1997年、史上最年少で代表監督に就任した平尾さんは「ラグビーは国籍において寛容だから」と、チームを強くするため、積極的に外国出身選手を日本代表に召集した。
この時に召集されたのが、ジョセフHCだった。当時、29歳。今の代表のスローガンである「ONE TEAM」の原形は、この時に始まったといっても過言ではない。ジョセフHCは、あるインタビューで、
「(当時)平尾さんのラグビーを皆が楽しんでいた。平尾さんの元でプレーできたことが、大きな財産となっている」
と語った。
また、日本代表初の外国出身主将となったアンドリュー・マコーミック氏は
、「W杯の初戦前、ホテルのベッドに平尾さんからの封書があった。私へのメッセージだった。だが、これは全選手、それぞれに言葉を変えて、送ってくれていました」
と話している。
リーチ主将「勝つ自信がある」
この慣習を受け継いだのが、ジョセフHCだった。選手の特徴を見つつ、細かいアドバイスを送る。また、平尾さんを見習い、選手個々人へ手の紙を送ることもあるという。正に、「平尾ジャパン」から「ジョセフ・ジャパン」へと、その魂が受け継がれている。
主将を務めるリーチ マイケル選手は、
「ここ(8強)で終わりじゃない。相手(南ア)を、どうやって崩すか考えたらワクワクしてきます。勝つ自信がある」
日本ラグビー界を牽引(けんいん)し続けてきた平尾さんの命日――。ジョセフHCが指揮を執る日本代表は、その魂を引き継いで戦う。
(J-CASTニュース編集部 山田大介)