女優の高畑充希さん(27)が主演する「同期のサクラ」(日本テレビ系)の第2回が、2019年10月16日に放送された。
同ドラマは脚本家の遊川和彦さんが脚本を担当。2017年放送の「過保護のカホコ」(同)で主演を務めた高畑さんと再びタッグを組んだことや、1話ごとに1年の時が経過し、大手建設会社に同期入社した主人公たちのその時々の姿が描かれることなどが話題を呼んでいる。
「まさに今悩んでる人が見たらかなりつらいだろうな」
第2回では、入社から1年後の2010年が舞台。前年の新人研修後に人事部配属となった主人公のサクラこと北野桜(高畑さん)が、各部署の残業時間を減らすという課題に取り組むことに。各部署へ働きかけるも、営業部だけは若手を中心に逆に残業時間が増加してしまっていた。
調査の結果、サクラと同期の営業部・清水菊夫(竜星涼さん=26)は、前月に94時間50分の残業を行っていたことが判明。再度の働きかけを任されたサクラは営業部を訪問し、営業部長の桑原(丸山智己さん=44)に残業時間の削減を要請するも、桑原は聞く耳を持たず、結果、押し問答になってしまう。また、これより後のシーンでは、菊夫が過労で倒れてしまい、サクラが見舞いに訪れる姿が描かれた。
どの会社にもありがちな、労務管理の難しさを描いたこれらのシーンを見た視聴者からはツイッター上を中心に、「菊夫くんの残業時間見てたら、私と重なって涙出てきた」といった声が噴出。「まさに今悩んでる人が見たらかなりつらいだろうな」と慮るツイートも見られる。
「昔は残業100hとかやってたな...」
また、これらのツイートに交じって上がっているのが、自らの残業時間を挙げつつ、ドラマと比較するツイートだ。あるアカウントは、「同期のサクラ見て我が身振り返る...昔は残業100hとかやってたな...」と、かつての自分を振り返っているほか、別のアカウントは、「おれ、21歳で新卒の頃最初の会社で125時間残業してた 辞めてなきゃ自殺してたな」と、切羽詰まった状況だったとする声も。また、「残業160時間とかになると、眠すぎてどこでも気絶するし仕事以外の時間にできることなんて何もない。家も散らかり放題」と、生活が破綻していたと回顧する声も上がっている。
厚生労働省のウェブサイト上にあるPDFファイル「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」の8ページを見ると、
「1週間当たり40時間を超える労働時間が月45時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まるとされていること
さらに、1週間当たり40時間を超える労働時間が月100時間又は2~6か月平均で80時間を超える場合には、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いとされていること
に留意しなければなりません」
という記述があることが分かる。俗にいう「過労死ライン」で、ドラマ中での菊夫、そして上記の視聴者らは十分これを越えてしまっている。
1年前の同枠では「けもなれ」が放送されていた
「同期のサクラ」の同枠となる日本テレビ系の水曜22時には、2018年10月期ドラマとして「獣になれない私たち」が放送されていた。同年11月7日に放送された第5話では、女優の新垣結衣さん(31)が演じる主人公・深海晶が以前にも増して感情を押し殺して仕事に邁進する姿を描く際に、新垣さんの鼻歌が2分半にわたって挿入されるシーンがあり、その演出に戦慄したとする視聴者が続出した。
同ドラマは日本社会の働き方に強い疑問を投げかける作品であり、そのメッセージが視聴者に強烈な印象を与えたのは記憶に新しい。一方、「同期のサクラ」から伝わってくるメッセージは働き方への疑問ばかりではないが、それでも、「残業時間の削減」というテーマが「けもなれ」と同枠のドラマから飛び出してきたことは非常に興味深い。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)