首都圏への効果は「3%」?
八ッ場ダムは、どれくらい治水効果があったのか。2人の識者に話を聞いた。
ダム建設への反対運動に取り組む「水源開発問題全国連絡会」の遠藤保男共同代表によると、八ッ場ダムの治水効果は、河川の下流に行くほど「どんどん薄れる」という。
「本当にどのくらい効果があったのか数値的に言うのはなかなか難しい」とした上で、「今まででわかっていることからすると、何トンぐらいの流量で放流したかにもよるが、せいぜい首都圏に対しての効果は、3パーセントぐらいしか調節した効果にしかなっていない」と指摘する。「ダムの直下あたりなら、それなりの効果はあったと思うが、恒常的にあんな効果が出るかと言ったら全く大間違い。水がたまってなくて空の状態から始まったから、かなり(水を)ためることができた」。
また、「ダムが調節できるだけの雨であれば効果は上がるが、そんなことめったにない」と主張。「間に合わないと緊急放流しなきゃならなくなる。オーバーフローしてしまう。ダムで調節する前提で川を整備していると、ダムで調節しきれなくなった水がきた場合には、想定したよりもはるかに被害が大きくなる」と訴える。