2019年10月15日から始まった伊勢神宮の「神嘗祭」。17日朝には、宮中の神嘉殿で天皇陛下が神宮を遥拝される。
年間1500回に及ぶ伊勢神宮恒例の祭りのなかでも、特に重要なのがこの神嘗祭だとされ、今年2019年は「令和初」の催行となる。
神嘗祭とはどのような儀式なのか、神嘗祭と呼び名が似ている新嘗祭との違いなどを伊勢神宮のウェブサイトに掲載されている「祭典と催し」ページを参考にして、説明しよう。
新米を神宮にお供えし、自然の恵みに感謝する祭祀
神嘗祭とは、その年に収穫された新穀を天照大御神(あまてらすおおみかみ)が祀られている神宮にお供えし、御恵みに感謝する祭のこと。
721年から始まったとされ、明治時代までの太陰太陽暦では、9月17日に行なわれていた。太陽暦に替わった1879年以降からは、1カ月遅れの10月に変更となり現在まで続いている。
伊勢神宮には皇室の祖神とされる天照大御神をお祀りする内宮(ないくう)と、衣食住を始め産業の守り神とされる豊受大御神(とようけのおおみかみ)をお祀りする外宮(げくう)を始めとした125もの宮社がある。それら全てをふくめて神宮という。
神宮のお祭りは、外宮先祭といって、まず外宮で祭儀が行われる習わしがある。神嘗祭も内宮に先んじて、外宮で15日から16日にかけて、新米を初めとするお食事を奉納する由貴大御饌(ゆきのおおみやけ)、天皇陛下が遣わされた勅使が五色(青・黄・赤・白・黒)の絹の反物をお供えする奉幣(ほうへい)、御祭神を和めるために御神楽(みかぐら)と呼ばれる儀式がまず行なわれ、16日~17日に同様の儀式が内宮で行われる。
そして17日に、天皇陛下が宮中から、伊勢神宮を遥拝される。「神宮の年間の祭典は神嘗祭を中心に行われているといっても過言ではありません」(公式サイト)という、とても重要な祭りだ。