マイルをためて旅行に行く人にとって悩みの種が、予約の取りにくさだ。
そんな中で、日本航空(JAL)のマイルの仕組みが2018年12月に大きく変更され、混雑している便でも予約しやすくなった。意外に知られていないが、きちんと仕組みを知って活用すれば、旅行の幅が広がりそうだ。
これまで「キャンセル待ち」が多かった夏休みの便も...
数百人が乗れる飛行機でも、そのうちマイルで予約できる座席数は限られている。これまでは、その席が埋まればキャンセル待ちの状態になっていた。キャンセルが出るメドも分からないまま待ち続ける必要があったため、旅行の予定も立てにくかった。
だが、2018年12月に始まった新制度「JAL国際線特典航空券PLUS」は、これまでどおり「基本マイル」で予約できるのに加えて、夏休みなどのピーク時でも、その便に空席がある限り、マイルをプラスすれば予約できるようになった。基本マイルが引き下げられた路線(シンガポール、ホーチミンシティ、フランクフルトなど)もある。
具体的にはどう活用できるのだろうか。例えば20年3月下旬に数日間「春休み」を取ってシンガポールに行くケースではどうなるか、10月下旬に実際に調べてみた。東京-シンガポールは1日3往復。3月18日に東京を0時05分と10時50分に出発する便では、エコノミークラスでは、それぞれ片道3万1000マイル、4万3000マイル必要だが、18時発の便では基本マイルの片道1万2000マイルで乗れる。3便のうち、0時05分と10時50分の2便は、これまでであれば「キャンセル待ち」で予約できなかった便だ。
3月24日の復路は4万3000マイル必要だが、翌3月25日の8時10分発の便は1万2000マイルで乗れる。スケジュールに余裕がある人は、滞在を伸ばして必要マイル数が少ない便を選ぶのも一案だ。ここで示したのは、あくまで10月下旬時点での必要マイル数で、時期によって変動するため注意が必要だ。
「空席照会カレンダー」で必要マイル数をチェック
マイルを活用した旅行の幅が広がりそうだ
時間帯を工夫したり、日程をうまく調整できたりすれば、少ないマイル数で赤道近くまで遠出できることになる。逆に、日程調整がしにくい人は、マイルを多めに出せば、希望の便をかなりの確率で押さえることができる。需要が高い便では、非常に多くのマイルが必要になるケースもあるが、先ほどの例のように工夫すれば少ないマイル数で予約できることもあるため、カレンダーとの「にらめっこ」が重要だ。
片道ずつ予約できるのも魅力だ。日程や路線ごとに必要マイル数を調べられる「空席照会カレンダー」を眺めながら、まずは必要マイル数が少ない往路を予約。それから復路をじっくり考える...というやり方もできる。例えば、高速鉄道を使って台湾縦断旅行をする場合、往路は東京-台北便を早めに予約。それから、マイル数を考えながら、
(1)高雄-東京便で帰る
(2)いっそのこと東海岸の在来線に乗って台湾1周旅行して、台北-東京便で帰る
といった選択肢をゆっくり検討する、といったさまざまなバリエーションが楽しめる。
手持ちマイルで足りなければ「e JALポイント」で
手持ちのマイルでは希望の便の必要マイル数に届かないという時も諦める必要はない。必要マイル数は空席状況に応じて変動するので、時々空席照会カレンダーをチェックしていれば、必要マイル数が下がっている可能性もある。それでも希望の便に手が届かない場合は、手持ちのマイルを「e JALポイント」に引き換える方法もある。e JALポイントはJAL WebサイトでのJALグループ航空券やツアーの支払いにつかえるポイントで、「10,000マイル=15,000ポイント(15,000円相当)」に引き換えられる。手持ちの資金とe JALポイントを組み合わせて、改めてお得な便を探して購入する、というやり方だ。さまざまな方法を工夫して、お得な海外旅行が楽しめそうだ。
(10月18日追記)
事例を最新のものに差し替えました。