「安全神話」懸念する東京新聞
そもそも本当に安全か、そして届け出を義務化すべきかという点について、遺伝子組み換え食品のような安全審査まで求める論はないが、毎日(3月28日)は「食品としての安全性が万全かどうか未知の部分があり、懸念が生じた場合にすぐ対応できるよう、少なくともすべてのゲノム編集農水産物の登録を義務づけるべきだ」と明快に求めている。東京(3月22日)も「遺伝子組み換え食品とは違う。ゆえに安全審査は必要ない――と、厚生労働省は考える。新たな安全神話の誕生に、ならなければいいのだが」と、皮肉な言い回しで義務化見送りを批判。
読売(4月8日)は「ゲノム編集でも誤った遺伝子改変は起き得る。こうした結果、食品に適さない物質を作り出すリスクは皆無ではない。......改変による悪影響が生じていないかどうかを、事業者が開発段階で、個別に詳しく調べておくことが不可欠である」と、危険性を指摘しながら、届け出義務化見送りには異を唱えず、政府方針追認の姿勢だ。
表示の義務付けについては、朝日が7月11日と9月25日に繰り返し取り上げ、「科学的に安全か否かの議論とは別に、自分の判断で食品を選べる環境を整えることが大切」として、「今回の措置は、消費者の権利を尊重し、適切に行使できるようにするという、消費者行政の目的と相いれない。見直しを求める」と、表示義務化を要求。毎日(9月23日)も「食べるかどうかを消費者が選択できるようにしてほしい。そのためには、生産者による届け出も、食品の表示も、『義務』と位置づけることが必要ではないか。思わぬリスクが分かった時のすばやい対応にも役立つ」と求めている。