従来の品種改良と「区別」難しく
厚労省とは別に、消費者庁はゲノム編集食品をラベルなどに表示させるかどうかを検討してきたが、9月に、表示を義務化せず、ウェブサイトなどでの任意の情報提供を求める方針を決めた。義務化した場合、違反した事業者を特定して処分する必要がでてくるが、現状ではゲノム編集と従来の品種改良を区別する検査方法がないというのが理由だ。仮に国内で規制しても、規制のない米国からの輸入品を原材料に加工食品を作る事業者などが対応不能という現実もある。
ただ、消費者の不安が強いことを意識し、「できるだけ表示してほしい」(伊藤明子長官)と呼びかけている。また、逆に「遺伝子編集食品ではない」と表示する場合は、それを証明できる原材料の取引記録などの保管を求める。
ゲノム編集食品の論点を整理すると、そもそも本当に安全性に問題はないのか、届け出や表示を義務付けるべきかどうか、さらに、産業としてどう育てていくかという問題が絡んでいる。こうした点について、大手紙各紙は3月の厚労省の審査免除方針、9月の消費者庁の表示を義務付けない方針などの節目で、社説で取り上げている。