ヤフーが新たなフリマアプリ「PayPayフリマ」をスタートした。コード決済として知られる「PayPay」ブランドを引っ提げて、満を持してのサービス開始となる。競合には「メルカリ」があり、競争が激化しそうなフリマアプリ業界。後発のPayPayが成功するカギは――。
デザインはメルカリを意識?
「PayPayフリマ」は2019年10月7日にサービス開始し、初日にはツイッターのトレンド上位にも入った。個人間の取引で、決済サービスとしての「PayPay」で支払い・売上金受け取りができるのが特徴で、販売手数料は価格の10%となっている。
コード決済での「100億円あげちゃう」が記憶に残るPayPayは、フリマアプリにおいてもインパクトのあるキャンペーンを行っている。11月末まで出品者送料を負担するというのだ。ヤマト運輸の「ネコポス」だと、通常195円(以下、PayPayフリマの場合)がかかるが、期間中は0円になる。日本郵便の「ゆうパケット(おてがる版)」は通常175円だが、こちらも負担しなくていい。
ヤフーはすでに、オークションサービスの「ヤフオク!」を運営している。かつてライバル企業の楽天は、フリマアプリの「ラクマ」を始め、後に先行して運営していた「楽天オークション」を終了させた。今回も同様に「カニバる」(競合するサービスが互いに食いあうこと)可能性はあるが、ヤフーは共存路線を進めているようだ。PayPayフリマ内では、「ヤフオク!」の一部商品も購入できるようになっている。
PayPayフリマが成長する上で、避けては通れないのは、メルカリの存在だ。事実、ユーザーの中では、両者を比較する声が相次いでいる。両サービスのスマホアプリを開くと、最上部に検索フォーム、その下にカテゴリを選べるタブ、バナーを挟んでタイル状の商品画像が並び、最下部のナビゲーションバー中央には「出品」ボタンが配置されている。デザインから見ても、意識しているのは間違いないだろう。
いかにメリットを提示できるか
メルカリは2013年スタートで、すでに広く知られた存在だ。一方、PayPayブランドは1年前にできたばかりで、ようやくコード決済のイメージが付いたところ。「フリマもPayPay」と定着させるために、これから「おトクさ」を打ち出したキャンペーンや、CMなどのプロモーション攻勢をかけていくのだろう。
しかし、ここから先は「メルカリではなく、あえてPayPayフリマを使う理由」を上手く示せるかがカギとなる。すでにメルカリを使っているユーザーの「乗り換え」、フリマアプリを使ったことない層の「掘り起こし」、そのいずれにしてもPayPayフリマだから味わえるメリットを提示する必要がある。
当面の課題は、ユーザーを確保して、取引を活発にさせること。売り手をいかに確保するかを考えると、かつて楽天が行ったように、「ヤフオク!」との融合を進めていくのも、あながちあり得ない未来ではないのかもしれない。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)