ささやかな抵抗?
肝心の大戸屋HDの業績は冴えない。店舗の実力を占う既存店売上高は、2019年2月から最新の9月まで8か月連続で前年同月を下回っている。2月は店舗アルバイトが下半身をトレーで隠す動画が拡散して批判を浴びた時期であり、その影響もある程度はあっただろうが、さらに大きかったのは4月のメニュー改定だ。結果的に価格帯が上昇しており、象徴的だったのは手頃な価格で人気があった「大戸屋ランチ」の廃止だ。かつては600円台が多かった定食メニューは800円台と900円台が中心になり、客離れを引き起こしてしまった。
危機感を抱いたのか「大戸屋ランチ」は10月1日に復活したが、価格は10%の消費税込みで790円。消費税増税があったものの、廃止される前は税込み720円だった。商品戦略の軸足が定まらない中、大戸屋HDは筆頭株主になったコロワイドにどう対応するか方向性が定まっていない模様だ。大戸屋HDを追われる格好になった創業家が株の売却先にコロワイドを選んだのは、現経営陣に対するささやかな抵抗なのかもしれない。