中国の新華社通信が最近、「真正的大事(真の一大事)」という大きな見出しを付けた記事を流し、中国内で話題になった。
黄土高原や砂漠が広がる寒冷・乾燥地帯で、昔から「貧困、不毛の地」と言われた中国西北地域が、「温暖湿潤地帯に変わりつつある」という。地球温暖化の影響が大きいとみる科学者の見解も伝えられた。
「変動」示す数字が次々に
2019年9月18日に配信された記事の概要は――。
「陝西省など西北各省、自治区の気象関連部門によると、西北一帯で1961年以降気温上昇の傾向が見られ、大部分の地域で降水量が増加。2000年以降、この傾向はさらに顕著になっている」
「甘粛省気象局副局長によれば、祁連(きれん)山脈の主峰の祁連山では、1973年以降10年ごとの平均気温が摂氏0.45度ずつ上昇。全国平均や国際平均を明らかに上回った数字だ。同省では昨年、過去60年間で2番目に多い降水量を記録し、植物被覆率も過去18年間で最高になった」
「甘粛省・天水市では野菜の作付け地が海抜の高い土地に移っている。海抜1500メートルで季節外れの時期に実った作物を出荷し、昨年146万元(約2200万円)を稼いだ農民もいる」
この報道に呼応するように、その他のメディアも、次々に「気候変動」に関する話題を伝えた。私の目に留まった中国気象局による「全国生態気象官報」の報道によると、黄土高原に位置する延安地域では森林被覆率が2017年には46%に達したという。黄土高原は日本にも飛来する黄砂の主な発生地だ。その緑化にはこれまで、日本政府も円借款を供与したり、日本の民間団体がボランティアで熱心に協力したりしてきた。
こうした地域の緑化の理由について、新華社は「中国科学院」の報告書や中国気象局気候変化特別顧問のコメントに基づいて、「地球温暖化の影響が根本原因とみられる」と伝えた。元々西北地域にはアラビア海とインド洋から蒸発した水蒸気が流れ込んでいたが、温暖化の影響でその量が増加。さらに最近は北極海から流れ込む水蒸気も増えているとみられ、それらが降水量増加につながっているというわけだ。