プロ野球の楽天は2019年10月11日、三木肇2軍監督(42)の1軍新監督就任を発表した。楽天は前日10日に平石洋介監督(39)の退任を発表し、内部昇格の形で三木氏が新監督に就いた。今オフの監督交代はヤクルト、広島に続いて3球団目となり、パ・リーグでは初めてとなる。
三木新監督は1995年のドラフトにおいて1位指名でヤクルトに入団。2008年にトレードで日ハムに移籍し、翌09年に現役を引退した。引退後は日ハムの1軍内野守備コーチを務め、14年シーズンから古巣ヤクルトにコーチとして復帰。16年には1軍ヘッドコーチ兼内野守備走塁コーチに昇格し、今シーズンは楽天の2軍監督に就任した。
「1年退任」創設15年で早くも4人目
今回の楽天の監督交代劇に関して、一部スポーツ紙がシーズン中の9月17日に、平石監督が今シーズン限りで退任する可能性が高いと報じた。この報道に対して石井一久GM(46)は不快感を示し、監督人事について「白紙」を強調。最終的にチームは昨年の最下位から3位に躍進したが、平石監督は就任1年で退任となった。
平石監督の退任は1年契約の任期満了に伴うもの。リーグ優勝こそ逃したが、リーグ3位でクライマックスシリーズ(CS)に進出した手腕は、ファンの間では高く評価され、平石監督の退任を悲しむファンが続出している。過去には田尾安志氏、マーティ・ブラウン氏、大久保博元氏が就任1年で退任しており、球団創設15年にして4人目の1年限りでの交代劇となった。
パ・リーグでは、最下位オリックスが西村徳文監督(59)の続投を決定。西村監督は今シーズンからチームの指揮を執り、5年連続Bクラスとなったが、湊通夫球団社長は「監督の責任だけではない。GM制を敷くことになってフロント、首脳陣、ファームなどの地盤作り。一緒にやっていく」と、西村監督ひとりに責任を押し付けることなく、球団全体の問題としてとらえている。
日ハムは栗山監督の「日ハム愛」も評価
オリックスは、近鉄と合併した2005年から3年連続で監督が1年限りで退任している。だが、球団の体質が徐々に変化し、現場とフロントが一体となり球団作りに励んできた。2010年からは監督の任期は3年で固定されており、中長期的なスパンでチーム作りを行っている。西村監督を1年で見切りを付けなかった理由もここにある。
また、今シーズン5位に沈んだ日ハムは、栗山英樹監督(58)に来シーズンもチームを託す。栗山監督はチーム不振の責任を取り、シーズン終盤に球団に辞意を伝えていた。だが、畑佳秀オーナーは栗山監督に1年間の契約延長を要請。球団は栗山監督の8年間の実績を高く評価する一方で、指揮官の「日ハム愛」も評価した上での続投要請となったようだ。
球団が目指すのはあくまでもリーグ優勝、日本一であり、CS進出が目的ではない。監督に対する評価は各球団それぞれあり、楽天は今シーズンの成績だけではなく、シーズン中の戦略や采配を含め総合的に判断しての監督交代とみられる。ただ、楽天初の生え抜き監督がわずか1年で退任したことで、楽天ファンのショックは大きいようだ。