プロ野球のレギュラーシーズンの全日程を終え、クライマックスシリーズ(CS)進出を逃したチームはそれぞれ秋季練習に入った。2019年10月9日からはセ・パ両リーグでCSファイナルステージが開幕。17日にはドラフト会議が開催され、球界の話題は尽きない。なかでも野球ファンが注目するのはフリーエージェント(FA)だろう。今オフ、過去最多のFA移籍者が出る可能性もあるが、補償不要の「Cランク」にも注目選手がいる。
高額年俸の選手がFAで移籍した場合、金銭または人的補償が伴う。昨年、FA権を行使して巨人に移籍した丸佳浩外野手(30)、炭谷銀仁朗捕手(32)の人的補償問題は球界のみならず、世間を巻き込んでの騒動に発展した。昨年はFAで4選手が他球団に移籍したが、丸、炭谷以外の西勇輝投手(28)、浅村栄斗内野手(28)もまた補償を伴う選手だった。
CS本塁打の福田は改めて評価が上昇
FA権を行使して他球団に移籍する選手は、年俸により3つのランクに分けられる。前球団の年俸が、球団内で上位3位までの選手は「Aランク」、4位から10位までの選手は「Bランク」とされ、いずれも金銭または人的補償が発生する。11位以下の「Cランク」の選手が移籍する場合、いずれの補償も不要で、受け入れ先の球団にとって懸念材料がひとつ減ることになる。
今シーズン、国内FA権を取得した「Cランク」の選手で注目されるのが、パ・リーグの3選手。ソフトバンク・福田秀平外野手(30)、ロッテ・荻野貴司外野手(33)、西武・十亀剣投手(31)だ。ソフトバンクと西武が現在、ファイナルステージの最中ということもあり、福田、十亀はFA権行使に関しては明言を避けている。荻野もまた、権利行使について熟考中のようだ。
福田は今シーズン、80試合の出場にとどまった。限られた打席のなかで打率.259、9本塁打をマークして結果を残した。CSでも存在感を示している。スタメン出場したファーストステージ第2戦で決勝のソロ本塁打を放ち、ファイナルステージ第1戦目にも1番ライトでスタメン出場を果たしている。ポストシーズンで持ち前の強打と勝負強さを発揮し、改めて評価が上がっている。
Cランクでも「リーグ3位」打率の荻野
ロッテのリードオフマンとしてチームをけん引した荻野は、プロ10年目の今シーズンは自身初となる規定打席に到達。125試合に出場し、リーグ3位となる3割1分5厘の打率を残した。10月21日には34歳の誕生日を迎え、円熟味を増すベテランの動向に熱い視線が注がれる。
西武では海外FA権を取得した秋山翔吾外野手(31)が注目されがちだが、十亀も注目のひとり。今シーズンは17試合に先発して5勝6敗の成績を残している。2011年にはキャリアハイとなる11勝をマークしている。一部報道では、ヤクルト、楽天が獲得へ向けての調査に動くとされ、ローテーションの一角として期待されている。
セ・リーグではDeNAの伊藤光捕手(30)が「Cランク」となる。伊藤は7月に国内FA権を取得したものの、シーズン最終戦となったCSファーストステージ最終戦後は権利の行使に関して「今は全く考えていない」と話しており、権利を行使しない可能性も。球界全体的にみても今オフはパ・リーグから多くのFA宣言が飛び出しそうな気配で、「Cランク」の3選手の行方にも注目が集まる。