先端技術を活用した「スーパーシティ」を整備するための国家戦略特区法改正案が、今回の臨時国会では提出が見送られる公算が大きくなった。
「スーパーシティ」構想は、片山さつき・前地方創生担当相の「肝いり政策」。19年6月に閣議決定され、19年の通常国会に提出されたものの、内閣法制局との調整に時間に時間がかかり、6月26日の閉会で廃案になった。臨時国会での成立を目指していたが、今回も調整が進まずに提出が先送りされる見通しだ。20年の通常国会で「3度目の正直」を目指すが、担当大臣のリーダーシップの欠如もあって、落胆の声もあがっている。
「スーパーシティ」と「スマートシティ」の違いは...
19年2月に有識者懇談会がまとめた報告書によれば、これまで行われていた「スマートシティ」や「近未来技術実証特区」といった取り組みは「エネルギー・交通などの個別分野での取組、個別の最先端技術の実証などにとどまっていた」のに対して、「スーパーシティ」では、「これらとは次元が異なり、『丸ごと未来都市を作る』ことを目指す」としている。
具体的には、(1)「移動」「物流」「支払い」「行政」「医療・介護」「教育」「エネルギー・水」「環境・ゴミ」「防犯」「防災・安全」といった領域のうち、少なくとも5領域以上を広くカバーし、生活全般にまたがる(2)「域内は自動走行のみ」「現金取扱い」「紙書類なし」といった、2030年頃に実現される未来社会での生活を加速実現する(3)住民が参画し、住民目線でより良い未来社会の実現がなされるようにネットワークを最大限に利用する、ことを掲げている。