広島の会沢翼捕手(31)が2019年10月10日、マツダスタジアムで会見を行い、国内フリーエージェント(FA)権を行使せずに残留することを発表した。3年契約で基本合意した。会沢は今年5月に国内FA権を取得。打てる捕手としてセ・パ両リーグの球団から高く評価され、その去就に注目が集まっていた。今シーズンは選手会長としてチームをけん引。リーグ4連覇は逃したが、個人では126試合に出場し打率.277をマークした。
会沢のハートをつかんだ指揮官の一言
広島は2015年以来、4年ぶりとなるBクラス。リーグ3連覇の立役者・緒方孝市監督(50)が責任を取る形で退任し、内部昇格で佐々岡真司コーチ(52)が監督に就任した。チーム再建に向けて佐々岡監督の最初の「仕事」がFA移籍を阻止することだった。広島は、会沢、野村祐輔投手(31)、菊池涼介内野手(29)がシーズン中にFA権を取得しており、他球団へのFAが危惧されていた。
会沢が残留を決意したひとつの要因とされるのが、佐々岡監督の「直電」だ。佐々岡監督は監督就任会見前日の10月6日に、FA権を取得している3選手に直接電話をし、残留を呼びかけた。会沢に対しては「力が必要だ」との言葉をかけたという。この言葉が会沢のハートをがっちりつかんだようだ。会沢はこの日の会見で「必要だという言葉をいただいてありがたかった」と話している。
「意中」の選手への直電は、巨人の原辰徳監督(61)が得意とする手法だ。原監督は過去、直電によって大物選手の獲得に成功してきた実績を持つ。2011年にはソフトバンクからFAを宣言した杉内俊哉投手に原監督がサプライズ直電。2013年には広島からFA宣言した大竹寛投手に電話でラブコールを。昨年は、楽天入りが濃厚とみられた岩隈久志投手を「直電効果」で獲得。直電の威力で数々の成功を収めてきた。