プロ野球の第1次戦力外通告期間で戦力外を通告された選手は12球団で計76人にのぼる。引退を表明した選手がいる一方で現役続行を希望する選手も多く、移籍先を模索している。
球団から通告を受けずに退団して移籍を希望する選手もみられ、阪神を退団する鳥谷敬内野手(38)をはじめ、元中日の松坂大輔投手(39)や、楽天を退団する見込みの嶋基宏捕手(34)など大物選手の行方に注目が集まる。
自主退団の鳥谷、松坂はNPB残留も
退団が正式決定すれば、複数の球団による争奪戦が必至なのは楽天・嶋だ。すでに今シーズン限りでの退団を決意したとみられ、活躍の場を新天地に求める。ベテラン捕手を巡っては、ヤクルトが獲得に乗り出すとみられ、中日、ロッテも獲得に名乗りを上げる可能性も。チームの要で激務とされる捕手が不足している球団は多く、嶋の経験は各球団から高く評価されている。
事実上の戦力外で阪神を退団する鳥谷に関しては、内野の守備力強化を目指す球団が興味を示している。一部報道ではDeNAが獲得に向けての調査を行っているという。DeNAの内野陣をみてみると、ショートは大和(31)が123試合にスタメン出場するなど不動の地位を築いたが、セカンドはネフタリ・ソト(30)、柴田竜拓(25)、中井大介(29)ら複数人でまわし固定しきれず、内野の強化が課題となっている。
中日を自主退団し、現役続行の意志を示した松坂は、古巣・西武への復帰の可能性が出てきた。現在、西武はクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージの真っ最中で、渡辺久信GM(54)は「全て終わってから」と話すにとどまっている。現時点で西武以外に松坂獲得に動きを見せている球団はみられず、西武がシーズン終了後にも獲得に向けて動き出すとみられる。
大引、成瀬はトライアウト見送りへ
一方、戦力外を通告され現役続行の意志を見せるも具体的な移籍先が見えてこない選手もいる。そのひとりが巨人を退団した森福允彦投手(33)だ。2016年にフリーエージェント(FA)でソフトバンクから3年契約で巨人に移籍した左腕は、契約最終年の今シーズンは7試合の登板にとどまり、防御率6.23、3ホールドに終わった。左のワンポイントとして「需要」はあるとみられるが、現在のところ目立った動きはみられない。
また、ヤクルトの大引啓次内野手(35)とオリックスの成瀬善久投手(33)の2人は、現役続行の意志を示しながらもトライアウトを受けずに移籍先を模索している。大引は10月いっぱいをメドに移籍先を探し、NPB球団からのオファーがなければ現役引退を覚悟しているという。一方の成瀬は独立リーグも視野に入れつつ、NPB球団からのオファーを待つとみられる。
戦力外の第2次通告期間はCS全日程終了の翌日から日本シリーズ終了翌日(日本シリーズ進出チームはシリーズ終了5日後まで)までとなっている。今年の第1次期間では昨年の66人を上回る76人が戦力外を通告された。過去には戦力外や自由契約となった選手が他球団に移籍して活躍したケースもあり、今後の各球団の動向に注目が集まる。