「ラグビーW杯2019日本大会」が、2019年10月13日、運命のスコットランド戦(横浜国際総合競技場)を迎える。スコットランドは9日に行われた同組のロシア戦で61-0と快勝。しかも先発14人を入れ替えての試合だった。
言葉は適切でないかもしれないが、要は「Bチーム」でロシアを完封したと言ってもいい。つまり13日の日本戦に主力を温存し、現在、プールA首位の日本を全力で叩き潰しに来るだろう。
世界レベルでは小柄ながらも、屈強な体の持ち主
日本代表も連戦を続け、NO8のアマナキ・レレイ・マフィ選手ほか、少なからずケガ人が出てきている。そこで出番を待っているのが、SO(スタンドオフ)、CTB(センター・スリークオーター・バックス)と、オールマイティーにこなせる28歳の中村亮土(りょうと)選手だ。
9日の記者会見に臨んだ中村選手は、178センチ、92キロ。世界レベルで見れば、決して大柄ではない。地元の鹿児島実業高でラグビーを始め、名門の帝京大へ進学。主将も務め、現在はトップリーグ(TL)のサントリーでプレーをしている。
そんな中村選手の最大の持ち味が「タックル」だ。ラグビーにおけるタックルとは、いわば「物理の法則」に基づく。大柄な外国人選手と小柄な日本人選手のぶつかり合いは、さながら、ダンプカーと軽自動車の衝突のような状態だ。止めるためには、日本人選手はスピードをつけ、相手の足元に入って行かなければならない。
象徴的なプレーがあった。2019年9月28日に行われたアイルランド戦の前半34分。相手の大柄選手がボールを持って突っ込んできたが、中村選手が下、LO(ロック)のトンプソン ルーク選手が上に入る「ダブルタックル」を見せた。このプレーから、日本は反撃に転じ、格上のアイルランドを破った。
10月9日の記者会見で、中村選手は、
「ラグビーは、チームのためにどれぐらいやれるかが表れるスポーツ。それが『タックル』だと思う。人間性が出てくるところなので、そこは負けたくない」
とコメント。大柄な外国人選手にも屈しない意気込みを見せた。