海上自衛隊は、2019年10月12日と13日に予定されていた観艦式事前公開と体験航海の中止を10月8日に発表した。
台風19号の接近を受けての措置だが、3年に1度の観艦式での貴重なイベントが中止されたために、楽しみにしていた艦艇ファンたちは、やり場のない怒りを台風にぶつけている。
抽選を勝ち抜いたのに無念の中止
観艦式では艦艇観閲とともに、一般人を乗せての体験航海が行われる。朝に艦艇に乗艦し、洋上に出て夕刻に帰港するスケジュールで、艦艇をすみずみまで見学できる上に僚艦と隊列を組む光景を艦上から眺められるため、毎回抽選は高い倍率になる。前回2015年には約16万件の応募があったが、当選はおよそ1万にとどまったという。
2019年は10月12日から14日まで3日間の開催が予定されていたが、12日と13日の回については台風19号の接近により中止が決まった。
開催地の相模湾直撃も予想される、強力かつ大型な台風の接近ゆえ中止もやむを得ないと当選者たちは理解しているが、それでも数年に一度のチャンスに抽選を勝ち抜いた上での中止決定には
「落選して落選して落選して ほぼ10年間待って当たって家族みんな喜んでくれたのに
ほんとに辛い 台風19号絶対許さないから」
「台風(台風の絵文字)チョームカつく」
「中止になった日のチケットを持っている人たちに別の日に何かしてあげてほしい」
などなど、台風への恨み節をツイッターなどでにじませていた。
観閲式当日の14日にも体験航海が予定されており、14日の回の当選者は幸運に恵まれたことになるが、こちらについても海上自衛隊は開催の可否は13日午前に決定するとしている。
「フリートウィーク」を直撃
観艦式は近年3年ないし4年ごとでの開催で、前回は2015年、それ以前は3年ごとの開催。以前も天候に恵まれるとは限らず、2012年にも天候悪化により一部航空部隊の観閲が中止になっていた。
とはいえ、観艦式に先駆けて様々なイベントが行われる通称「フリートウィーク」への影響は他にも発生しており、10月9日から11日までの艦艇の満艦飾と電灯艦飾も中止となっている。
台風と艦艇といえば、日本では1935年、旧海軍の連合艦隊が台風のいる海域で演習を強行し、多数の艦艇が損傷した第四艦隊事件が歴史に残っている。台風19号の接近でこの事件を連想し、無事に観艦式が終わるよう心配するミリタリーファンもいる。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)