プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが2019年10月9日、セ・パ両リーグでそれぞれ幕を開ける。セ・リーグはリーグ1位の巨人に3位の阪神が挑む。一方のパ・リーグは1位・西武と2位・ソフトバンクが日本シリーズ進出をかけて激突。CS進出を逃したチーム、敗退したチームはすでに来シーズンのチーム編成に着手しており、フリーエージェント(FA)の話題も出始めた。
今オフのFA市場はどのような展開を見せるのか。セ・パ両リーグをみてみると、今年はパ・リーグが荒れ模様の気配を漂わせている。6球団すべてにFA権を取得している選手が存在するが、このなかでオリックス以外の5球団からFA移籍者が出る可能性が。オリックスはFA権を取得しているT-岡田外野手(31)が残留を表明しており、他にFA権を取得している選手は契約期間中ということもあり、オリックスからのFA流出選手はなさそうだ。
複数球団が秋山、美馬の獲得調査を
パ・リーグ注目のひとり、西武の秋山翔吾外野手(31)はFA権の行使が濃厚で、西武残留を含めてMLB移籍を視野に入れている。強肩、俊足に加え、打撃センスはリーグトップクラスだ。3年連続で打率3割超えと20本塁打をマークしている。MLBから熱視線を送られる一方で、国内移籍に備えて複数の球団が調査に乗り出している。
今シーズン、リーグ3位に躍進した楽天からは、チームトップの25試合に先発した美馬学投手(33)と銀次内野手(31)が権利を有する。2選手ともに権利行使に関しては明言を避けており、球団は複数年数契約を提示して残留を要請している模様。美馬に関しては、一部スポーツ紙でロッテなど複数球団が獲得に向けて調査を進めていると報じており、権利を行使すれば争奪戦となりそうだ。
ロッテではFA権を取得している益田直也投手(29)、鈴木大地内野手(30)、荻野貴司外野手(33)が注目される。球団は残留へ向けて全力で取り組む姿勢を示しており、交渉が続けらているようだ。今シーズン、ロッテの守護神を務めた益田は60試合に登板して4勝5敗27セーブ、防御率2.15をマーク。セ・パ両リーグにおいて救援投手のコマ不足が深刻なだけに「需要」は高そうだ。また、鈴木、荻野の注目度も高く、荻野の場合は金銭、人的補償が不要なCランクとみられ、他球団からすれば獲得しやすい選手のひとりだろう。
セのFA組、チーム事情で「残留」の可能性も
常勝軍団ソフトバンクからは福田秀平外野手(30)、日ハムでは中島卓也内野手(28)がFA権を取得している。中島は権利の行使に関して「相当悩むと思う」と心中を明かしているが、福田は権利行使の可能性も。福田は今シーズン、78試合に出場して打率.258、25打点8本塁打を記録。3拍子そろった左打ちの評価は高く、複数の球団が水面下で調査に乗り出しているようだ。
一方のセ・リーグは、広島の野村祐輔投手(30)、会沢翼捕手(31)の2選手に加えて、来シーズンから日本人選手扱いとなるヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(35)の動向に注目が集まっている。DeNAの伊藤光捕手(30)もまたFA権を取得しているが、同僚の筒香嘉智外野手(27)が来シーズンのMLB挑戦を表明していることから、チーム事情を考慮して残留の可能性もある。
1993年にFA制度が導入されてから、パ・リーグの選手が国内FA権を行使して他球団に移籍したケースで最多となるのは4人。近年では、2016年、2017年にパ・リーグの4選手が権利を行使して他球団に移籍している。現状では今オフ、パ・リーグからこれを超える数の選手がFA権を行使する可能性がある。秋山、美馬、益田...。今オフのFA戦線はパ・リーグから目が離せない。