EVへの経営資源投入で...消える名車
しかし、そんな名車も世界の自動車業界に押し寄せる変革の波を乗り越えられなかった。VWは2019年11月、電気自動車(EV)専用の共通車台を採用した第1弾「ID.3」の量産を始める。VWは2015年に発覚したディーゼル車の排ガス不正によって、ブランドイメージの低下だけではなく、主力だったディーゼル車の販売も落ち込み、商品ラインアップを立て直す必要に迫られた。そこでVWはEVに経営資源を投入する方針を決め、その構想から外れたビートルを打ち切ることにしたというわけだ。
同じように日本メーカーでも長く親しまれた車種の生産や国内販売を終了する動きが相次いでいる。パジェロ(三菱自動車)、エスティマ(トヨタ自動車)、キューブ(日産自動車)といった一時は一世を風靡した車種も入っている。「CASE」(インターネットでつながるコネクテッド、自動運転、共有するシェアリング、電動化)と呼ばれる新たな技術や乗り方への対応が急務の自動車業界には、もう20世紀のノスタルジーに浸っている余裕はないのかもしれない。