「もってけ!セーラーふく」という曲をご存じだろうか。2007年のアニメ「らき☆すた」のオープニングテーマで、楽曲・アニメ共にヒットするきっかけになった曲である。冒頭から「さあ始まるザマスよ?」というインパクトの高いセリフやキャラクターがダンスする映像で、当時のインターネットでアニメと曲が流行する一因になった。
その作曲家の神前暁(こうさき・さとる)さんが、2019年10月6日のツイートで、楽曲制作時のこぼれ話を語った。
あの名セリフは「苦肉の策」
10月6日は前日の5日にアニメ「ドラえもん」の新オープニングテーマ「ドラえもん」(星野源さん作曲)が初めて放映された。神前さんはこれに言及し、
「星野源さんのドラえもん新OP、69秒というアニソンでは珍しいフォーマット(通常は89秒)の中でイントロもアウトロも切り詰めてサビの転調まで詰め込んでる密度感がとても現代的だと思った」
と評価した。
通常アニメのオープニングは1分半、90秒で構成される習慣になっている。神前さんはこれに加えて、「頭と終わり0.5秒ずつは無音(業界用語で"ノンモン")にしなければいけない」習慣があると投稿したが、「放送業界の決まりだからであって、別に音楽的な理由ではない」
と続けた。つまり曲そのものは89秒で制作する必要があるが、「もってけ!セーラーふく」について、
「『らき☆すた』の『もってけ!セーラーふく』は84秒しかない。これは伸ばすと音楽的に冗長になると感じたので苦肉の策で残り5秒をセリフ(さあ始まるザマスよ?)で埋めてもらった珍しいパターン。今思えばよくOK出たな...」
と、ツイートし、あのセリフはいわば空白を埋めるための苦肉の策だったと明かした。
「90秒ルール」に縛られない作品も
このようにアニソンのTV放映バージョンは長さが90秒と決まっているケースがほとんどだが、例外も存在する。前述の星野源さんの「ドラえもん」はTVバージョンでは70秒で放映されており、またアニメ「ONE PIECE」では1999年の放映開始時は最初110秒のオープニングが採用され、2006年の「Crazy Rainbow」からは150秒に、19年7月以降の「OVER THE TOP」からは120秒となっている。
2004年に始まった「プリキュア」シリーズもイレギュラーな長さのオープニング曲があり、シリーズ1作目の「ふたりはプリキュア」オープニングの「DANZEN! ふたりはプリキュア」は75秒だった。最新作の「スター☆トゥインクルプリキュア」の「キラリ☆彡スター☆トゥインクルプリキュア」では、90秒の長さになっている。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)