袋麺主流の中国でも「カップ麺」好調
それでは4~6月期連結決算の内容を確認しておこう。売上高は前年同期比2.4%増の1058億円だったが、営業利益は32.8%減の86億円、純利益は29.9%減の58億円。各利益が減っているのは前年同期に52億円の不動産売却益を計上した反動(営業利益にもその影響が出る)のためで、一時的な影響を除いた実質的な営業利益は前年同期より5%程度増えた。その増益をけん引したのは海外。米国やブラジル、メキシコなどの「米州地域」は売上高が15.5%増の151億円、営業損益は黒字転換し13億円だった。日清食品HDは「米国で高価格帯商品の販売推進により売り上げが好調に推移した」と説明している。中国の売上高は4.4%増の96億円、営業利益は102.4%増の8億円。もともと袋麺が主流の中国で好調なカップ麺類が売り上げを増やした。国内でも創業者一家がモチーフとなったNHKの連続テレビ小説「まんぷく」が販売を後押しした(今ではその効果は薄れているとみられるが)。6月の値上げで販売数量が減少した点は気になるところだが、長期的には利益確保に貢献するとみられている。
決算は株式市場の取引時間中に発表され、実質的に増収増益で海外が好調という点が好感されて急伸、終値は前日比5.3%(360円)高の7090円だった。少子高齢化による国内の需要減に直面する食品企業は海外が活路となり、株式市場はその成長の芽を見逃さない。それだけに日清食品HD株は今後も堅調に推移する可能性がある。