津田氏は「プラットフォーマー」問題を主張
一方、津田氏はパネルディスカッション終盤、「今問題になっている大きな戦場」としてSNSを挙げた。主に「不自由展」を念頭に、
「人を変えうるような強い表現のアートは、多くの場合、普段アートに触れていない人にとっては衝撃が強かったりする」
と指摘する一方で、SNSで生まれる「世論のようなもの」が、一連の齟齬の一因になっているとの見方を示した。
「SNSというのは、むしろ人々の分断や衝突を娯楽化して、お金に換えるテクノロジーということが言える。つまり、クアウテモックさん(編注:登壇者のクアウテモック・メディナ氏。第12回上海ビエンナーレ2018でチーフキュレーターを務めた)がさっき言っていたように、アートや美術家、キュレーターがアートの本質に立ち戻れば立ち戻るほど、多分、アテンション(注目)で人がつながってしまうグーグルとかツイッター、フェイスブックだけが儲かっていくという、パラドックスみたいな状況が生まれてしまうのではないか。問題は、我々のこの情報環境、ツイッターやフェイスブックで起きているような世論、論の波のようなものが、公共、パブリック、実は違うものなんだけれども、それが公共の議論であるかのように見えてしまうことによって生まれている齟齬でもあると思う」
さらに「分断」については、
「すでに分断というのは、いたるところに線があって、それを単に見ないようにしていただけではないのか」
として、元々あったものが今回の件で可視化されたに過ぎないと指摘。「Re Freedom Aichi」を例に、
「見えたことで、それはたぶん変わると思う。見えたことで実際に行動を始めている人がすごく増えている」
と前向きだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)