ラグビーW杯日本大会が2019年9月20日、開幕した。日本各地で連日、世界の強豪らが熱戦を繰り広げている。
今大会、優勝候補筆頭に挙げられるのが、通称「オールブラックス」のニュージーランド代表だ。W杯最多となる3度の優勝経験を持ち、大会2連覇中の世界的強豪である。ラグビーファンにはおなじみの「オールブラックス」。なぜニュージーランド代表はこのような愛称で呼ばれるようになったのか。J-CASTニュース編集部が調べてみた。
伝説と化す「オリジナル・オールブラックス」
ニュージーランドのラグビー史を紐解くと、1860年代後半にC.J.モンロ氏によってニュージーランドに伝えられたといわれている。92年に現在のニュージーランド・ラグビー協会(NZRU)の前身となるニュージーランド・ラグビーフットボール協会(NZRFU)が設立され、オーストラリア遠征を行うなど、この頃から徐々に海外のチームと対戦するようになった。
ニュージーランド代表が世界にその名を知らしめたのは、1905年から06年にかけて行った北半球遠征だ。英国、フランス、米国と遠征し、通算成績は35戦34勝1敗とされる。この時の遠征メンバー27人はのちに「オリジナル・オールブラックス」と呼ばれ、ラグビー界では伝説のチームとして語り継がれている。
「オールブラックス」という愛称は、一説によると1890年代には広まっていたらしい。代表が着用する黒色のジャージに由来するものとみられ、ラグビーファンはニュージーランド代表を「オールブラックス」と呼んだという。また、一方ではこれと異なる説もある。上記の英国遠征時に愛称が誕生したというものである。
その説によると、ニュージーランド代表と英国代表の試合を取材した新聞記者が、ニュージーランド代表のすべての選手がまるでバックスのように俊敏に走り回る様子を見て「All Backs(オールバックス)」と表現したという。どの段階で間違いが起こったのかは不明とされるが、新聞紙上では「All Blacks(オールブラックス)」となっていたという。現在、この説を証明するものは一切残っていないが、この説を有力とする見方もある。
フィジー代表は「フライング・フィジアンズ」
ちなみに、日本代表の愛称は「ブレイブ・ブロッサムズ」。日本代表は代表ジャージの桜のエンブレムにちなんで「チェリーブロッサムズ」と呼ばれていたが、2003年W杯オーストラリア大会で日本代表の勇敢なプレーを各国メディアが「ブレイブ・ブロッサムズ」と称し、ここから日本代表の愛称として定着した。
今大会の出場チームの愛称をみてみると、9月20日に日本代表と対戦したロシアは「ベアーズ」、優勝候補の一角オーストラリア代表は「ワラビーズ」、南アフリカ代表は「スプリングボクス」の愛称で呼ばれ、それぞれの国の代表的な動物が愛称となっている。フィジー代表の愛称はユニークなもので、そのプレースタイルから「フライング・フィジアンズ(空飛ぶフィジー人)」と呼ばれている。
このようにラグビーの各国代表チームにはそれぞれ愛称があり、ラグビーファンは尊敬の意を込めて代表チームを愛称で呼ぶ。長年、ラグビーを見てきたファンの方や、今大会を機にラグビーファンになった方も多いだろう。ファンそれぞれに楽しみ方はあるかと思うが、今大会の出場チームの愛称について調べてみるのも楽しいかもしれない。
(J-CASTニュース編集部 木村直樹)