すでに約10行から「連絡」が?
SBI HDは野望を隠さない。島根銀との提携発表(9月6日)に先立つ3日、東京都内で講演したSBI HDの北尾吉孝最高経営責任者(CEO)は「地域金融機関のビジネスの再構築をめざす」との目標を掲げ、具体的に「国内外のさまざまなフィンテックを活用し、地域金融機関と『第4のメガバンク』構想の実現を目指す」を打ち上げた。
イメージは、SBIグループ、有力地銀、ベンチャーキャピタルなどの出資で共同持株会社を設立し、地域金融機関に投資し、一体的事業を展開して既存の3メガバンクに匹敵するネットワークを構築しようというものだ。
この構想で大きなポイントになるのがシステム。業務効率などはもちろん、法令順守など求められる水準が上がり、体力に劣る地銀がバラバラに対応するのには限界がある。これを、SBI主導で効率的に進めようというのだ。もちろん、SBIグループの金融商品を中心に、広く顧客へ販売していくのは言うまでもない。
早速SBI HDには地銀からの打診が殺到、北尾CEOはマスコミの取材に約10行から連絡があったと述べている。市場も反応し、島根銀との提携発表から週末をはさんだ9日以降の東京株式市場では島根銀と同じように収益力や自己資本比率が高くない地銀株が物色された。例えば筑波銀が6日の終値153円から9日に168円に上昇し、その後も続伸して180~190円台で推移。栃木銀も6日の164円から直近では200円を突破。三十三フィナンシャルグループも6日の1483円から直近は1700円レベルに達するといった具合だ。島根銀も発表前の600円レベルから700円レベルに上昇している。
そして、関係者が注目するのが、シェアハウス関係の不適切な融資で経営再建中のスルガ銀だ。筆頭株主の創業家との決別やシェアハウス問題の処理が進めば、SBIとの提携の可能性もありそうだ。