国府津・米原・熱海...TOICA対応駅は増えるも、区間またぎが進まない理由
2021年春から定期券での相互利用が可能になるため、定期券を使う地元ユーザーにとってはサービスの向上になる。同時に熱海・国府津・米原もTOICA対応となりTOICAエリアが拡大するが、IC定期券以外では区間またぎのICカードは利用できない。定期券だけの対応にとどまった理由などをJR東海に取材した。
ICカードによる区間またぎ乗車が定期券のみとなっている理由について、JR東海は「技術的な限界」と答えた。ICカードの運賃処理は改札機内に運賃データを記憶させて処理しているが、エリアが広がる(例えば、TOICAとSuicaの東京エリアがつながり一体化する)と、処理速度が追い付かずエラーを起こす恐れがあるとのことである。処理速度が遅れると、「お客さまにご迷惑をおかけすることになりますし、新駅開業や制度改正等に円滑に対応できるようにする必要もございます」とJR東海はエリア拡大のハードルを挙げて答えた。
一方でTOICAエリア拡大については
「TOICAのエリア拡大(国府津、熱海、米原)により、例えば、ご利用の多い熱海~ TOICAエリアのSF'(ストアードフェア:カードから運賃が値引かれる仕組み)による乗車やTOICA定期券の発売が可能となります」
と、熱海方面からTOICAエリアへの需要の多さを認めて改善ができるとした。従来は下曽我・函南・醒ヶ井と、JR境界駅の手前のローカル駅でTOICAエリアは終わっていたが、国府津・熱海・米原からTOICAエリアにICカードで乗り通せるようになる。
沼津方面から熱海・国府津へのICカード乗車が可能になる一方、この区間には複雑な問題が残っている。新たにTOICA対応となる熱海と国府津の間にTOICA未対応の6駅(鴨宮・小田原・早川・根府川・真鶴・湯河原)があることだ。
あくまでTOICA区間に加わるのは熱海と国府津のみで、間の6駅とTOICAエリアをICカードで行き来することも従来通りできないとのこと。2021年以降も「これまでと同様に、自動改札機を利用できません。あらかじめ全乗車区間のきっぷをお買い求めいただくことになります」とJR東海は答えている。
また沼津~国府津間は東海道線と御殿場線の2ルートがあり、運賃計算も別立て。となれば、熱海~沼津間を通しで乗車した場合や御殿場線各駅と熱海駅間の運賃計算も2通りになってしまうが、これもICカードではどう処理されるのか。運賃計算についてJR東海は「具体的な内容は、決まり次第、お知らせいたします」と取材に回答しており、ICカードでの運賃計算ルールについても周知が待たれるところだ。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)