盛り上がりを見せている「ラグビーW杯2019日本大会」。日本代表は2019年10月5日にサモア戦(愛知県豊田市・豊田スタジアム)、13日にスコットランド戦(横浜国際競技場)を迎える。
3日、同組のライバルであるアイルランドがロシアを35-0で下して完封勝利。「勝ち点11」暫定首位となり、「勝ち点9」の日本は暫定2位となった。しかし、慌てることはない。アイルランドは、ここまで3戦を消化。日本は、まだ2戦を残している。2戦で勝利を収めれば、1位通過も夢ではない。
季節外れのインフルエンザが流行の兆し
しかし、ここにきて日本代表に「見えざる敵」が現れた。インフルエンザである。日本では冬に流行するイメージだが、南半球は季節が逆。今大会はニュージーランド、南アフリカ、サモア...といった南半球の国の選手、またはファンが多く来日している。
J-CASTニュースは、ウイルス学の専門家である新潟大医学部の齋藤玲子教授(公衆衛生学、ウイルス学)に話を聞いた。斎藤教授によると、
「日本でインフルエンザといえば『冬』というイメージがあるかもしれませんが、逆に言うと南半球は冬~春に差しかかる季節。今大会は、南半球からも多くのファンが詰めかけていると聞いていますので、その影響は否定できません」
齋藤教授は続ける。
「現在は『24時間で世界を1周できる時代』とも言われますよね。人の移動に伴い、ウイルスもグローバルな広がりを見せることにもなります。報道では、日本のインフルエンザ患者を取り上げるケースが多いですが、実はインフルエンザは1年中、世界のどこかで必ず流行っているものなんです」
「人が集まるところにはマスクなどで自己防衛を」
スポーツ大会など、多くの人が集まるイベントにおいては、一気にウイルスが広がることもある。
齋藤教授によると2009年、やはり9~10月にかけて行われた「新潟国体」でも小規模ながらインフルエンザが流行したそうだ。また、十数年前の剣道日本選手権では「はしか」が選手や関係者の間で飛び火していったという。さらに、2016年に開催された「伊勢志摩サミット」では、ノロウイルスの発症が少なからず確認されたという話もあったようだ。
実は2009年の夏、記者もインフルエンザにかかった。当時は相撲担当で、夏の東北巡業に帯同。そこで、現横綱の鶴竜がインフルエンザを発症した。これが力士の間で、瞬く間に広がった。「大変だな...」と思っていた矢先、記者も発熱し、帰京を余儀なくされた苦い思い出がある。
では、ラグビー場でのインフルエンザ感染は起こりうるのか?
「ラグビーは味方や相手と密着するとはいえ、基本的に屋外で行うスポーツですよね。ですので、室内スポーツよりは選手への感染は少ないかと考えられます。問題は、スタジアムに詰めかける観客の方じゃないでしょうか。大声で応援すると、どうしても飛沫(ひまつ)が飛んだり、喜んで抱き合ってハグしたりキスしたりすると、感染してしまう可能性はあります。暑い日が続きますが、できるだけマスクを着用することをお勧めします」
また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに対しても、警鐘を鳴らす。
「2020年には、国の内外を問わず、短期間で多くの方が密集する可能性が考えられます。先述した通り、インフルエンザなどのウイルスは世界中、どこにでもいます。熱中症対策などはもちろんですが、ウイルス対策にも目を向けた方がいいでしょう」
(J-CASTニュース編集部 山田大介)