モデルで女優の本田翼さん(27)が2019年10月3日、自身の「ブレークのきっかけ」をテレビ番組で明かした。
「おい、見ろ。7年ぐらい受かってないぞ」
この日に放送された「バゲット」(日本テレビ系)に出演した本田さんは、自らの芸能活動を振り返るコーナーで、中学生時代は100回以上オーディションに落ち続けていたことを公表。なかなか芽が出ない不遇の時代が続く中、状況が好転したきっかけとして「髪を切った」ことを挙げたのだ。
番組中、本田さんは
「高校生になった後だったんですけど、(それまで)ずっと長くて、このぐらい(ショート)に切った後ぐらいから、すごい色んなことが決まるようになりました。CMもでしたし」
と、状況の変化を説明。当時、所属雑誌「non-no」から企画で髪を切ってみないかと提案されたことに加え、事務所に対しては以前から髪を切りたいと言っていたものの、事務所からは「ロングの方が(オーディションに)受かりやすいんだよ」と言われていたという本田さん。そこで、打開策として本田さんは、「おい、見ろ。7年ぐらい受かってないぞ」と事務所側に詰め寄り、髪を切るチャンスを手に入れたのだという。
髪切っただけでそこまで変わる?
長年の不遇を吹き飛ばすきっかけを手に入れた、何とも微笑ましいエピソードを披露した本田さん。髪を切った直後にオーディションに受かったという事実は、本田さんにとって貴重な成功体験となったことだろう。
しかし、髪を切ったことによって、「あのオーディションに受かった」ならまだしも、「色んなことが決まるようになった」という主張は少々勢いが良すぎないだろうか。今の本田さんの活躍を思えば、「髪を切った」ことだけが理由ではなく、元々の資質や積み重ね、まためぐりあわせの良さ、などのほうが大きな要素に思える。
とはいえ、このような思考や物言いは決して本田さん特有のものではなく、一般人もついつい陥りがちなものと言えよう。そこで、J-CASTニュース編集部は、勇み足になりがちな人間の思考について、経営コンサルタントで心理学博士の鈴木丈織氏に意見を聞いてみた。
人間は「決めつけてでも」希望を持ちたい
まず、勇み足になりがちな人間の思考について鈴木氏は、
「人間は『成功したい』と思うと、成功につながる因果関係を探し回ってしまう性質を持っています。何かにつけて特徴的な出来事を探し出し、『これをやったから成功したんだ』と意味付けを行います。いわゆる『ゲン担ぎ』というやつですが、これには独自性がある方が、より満足感が得られます。さらに、ゲン担ぎには、実際に望み通りの結果が出た時のエピソードの方が記憶に残りやすいので、『このゲン担ぎには効果がある』との意識が強まります」
また、芸能人、特に役者は常にオーディションを受け続けなければならない職業だが、これは、一般人に置き換えれば「常に入社試験を受けている」ようなものだろう。これについて鈴木氏は、
「常に合格しなければならないという状況では、成功(合格)は偶然であるよりも必然である方が安心していられます。このような状況では、人間は『決めつけてでも』希望を持ち続けようとします。場合によってはオカルトやスピルチュアルなものにも法則性を感じてしまうでしょう。切羽詰まった状況で神秘的なものに憧れを抱いてしまうのは、人間の性なのです」
と指摘した。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)