関電幹部らの多額金品受け取り問題で連日、続報ニュースが伝えられるなか、キーマンの「元助役」が発したとされる、こんな発言が注目を集めている。
「発電所立地当時の書類は、今でも自宅に残っており、これを世間に明らかにしたら、大変なことになる」
関電の社内調査委員会の報告書に記された内容で、一部報道でも引用されている。ツイッターには、「1番調べるべきはここだろ」「この『当時の書類』を出してこないと、記事としてまったくチカラがないよね」と、「書類」に関する今後の取材や報道に期待する声が出ている。
調査委員長は「当時の裏事情があり得たとしても...」
関電は2019年10月2日、受け取り問題に関する社内の調査委員会による報告書(18年9月11日付)を公表した。金品を渡していた側で福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(19年3月に死去)については、高浜原発の地元の有力者で、「機嫌を損ねると、森山氏が、地域での様々な影響力を行使し、発電所運営に支障を及ぼす行動に出るリスクがある」と担当者間で認識されていた、と触れている。
先に紹介した、注目されている発言を伝える箇所を報告書から段落ごと引用すると、
「発電所運営の妨害を示唆する恫喝として、『お前とも関電とも関係を断ち切る。(編注:黒塗り)発電所を運営できなくしてやる』といった発言があった。また、高浜3・4号機増設時に関電経営トップと何度も面談し、増設に関して依頼を受けたと話していた。森山氏は、その際、当社の経営トップから受け取ったという手紙やはがき等を保管しており、『発電所立地当時の書類は、今でも自宅に残っており、これを明らかにしたら、大変なことになる』などといった発言があった」
とある。文中にある「高浜3・4号機増設時」「発電所立地当時」に関係する年代を関電サイトで確認すると、運転開始は、1号機は1974年、3・4号機はいずれも85年。
「これを明らかにしたら、大変なことになる」書類とは何か。気になるところではあるが、同じ報告書に付されている調査委員長の小林敬弁護士の「所感」では、次のような記載があり、重大視はしていないようだ。
「森山氏が、原発設置に尽力したのは事実ではあろうが、それも何十年も前の話であることに加え、仮に森山氏に暴露できるような当時の裏事情があり得たとしても、その露見の影響は限定的であろうことは容易に推測できることであったし、原発の再稼働への妨害の危惧については、むしろ、森山氏がどのような横やりを入れようと、正々堂々と説得するほかない事象であったはずである」