「公正決定原則から不適切」だとして、ネットで署名活動も
補助金不交付を受けて、審査委員を含む文化行政専門家の有志グループが9月30日、「あいちトリエンナーレ2019不交付決定に対する声明」サイトを開設して、意見聴取しなかったことなどに抗議する署名活動を始めた。野田教授も活動に参加している。
長津結一郎・九州大大学院助教と行政書士の作田知樹さんが活動の発案者で、声明では、文化庁内部ですべての審査を行い、不交付のような重大決定で意見聴取しなかったことは「異例中の異例」だと指摘した。「すべての公的資金助成の基本原則であり外部審査員の存在意義でもある『公正決定原則』に照らして不適切」だとして、「これまで公的資金助成の適切な運営に尽力してきた外部審査従事者、ひいては広く文化行政や公的資金助成への国民の信頼を失墜させる懸念があります」と訴えた。そのうえで、文化庁に対し、今回の経緯説明や有識者による検証などを求めている。
発案者の1人の作田知樹さんは10月2日、取材に次のように話した。
「採択したものを変えるときは、意見聴取は当たり前だと思います。そうした内規などはありませんが、補助金の不交付を恣意的に決められる恐れがあり、公正さを確保できないと思います。そもそも、審査委員は何のためにいるのかということにもなり、文化行政の事務が成り立たなくなってしまいます」
共同署名者には、審査委員が複数いるとし、署名者と賛同者は、2日現在で1000人以上に達したという。