広島が新体制作りに着手し始めた。緒方孝市監督(50)の退任に伴う後任選定が急務となる広島だが、内部昇格による新監督誕生の可能性が出てきた。広島の松田元オーナー(68)は、2019年10月9日から始まる秋季練習前に監督を決定する方針を示唆。選定するにあたり時間が少ないことから内部昇格の可能性が高く、佐々岡真司投手コーチ(52)、高信二ヘッドコーチ(52)が有力候補となる。
最終戦での投手交代のタイミングが...
緒方監督の後任者探しが急ピッチで進められる。新監督候補には、前監督の野村謙二郎氏(53)をはじめ、阪神の前監督で球団OBの金本知憲氏(51)、黒田博樹氏(44)、新井貴浩氏(42)らの名が浮上している。なかでも野村氏、金本氏の監督経験者に対する期待度は高いものがあるが、新監督決定リミットは遅くとも10月8日。後任者の生活環境などを含めた条件面を交渉するには、残された時間はあまりにも少ない。
球団は最後まで最善手を模索し続けると見られるが、球団OBの内部昇格が現実的とみられる。広島のコーチ陣は10月2日、マツダスタジアムで鈴木清明球団本部長と今シーズンを総括。それぞれのセクションで意見交換が行われたという。ミーティングに出席した佐々岡コーチは、球団からの来季監督の要請に関して現時点でオファーがないことを明かした上で、今シーズンのチーム成績については「監督だけの責任ではない」と言及した。
鯉党からは球団に対して「改革」を求める声が上がっており、内部昇格に関して「何も変わらない」との否定的な意見も見られる。リーグ3連覇からBクラス転落の責任を取る形で緒方監督が退任したが、チームが機能しなかった責任を首脳陣に求める鯉党も。ネット上では、レギュラーシーズン最終戦でクリス・ジョンソン(34)の交代のタイミングを誤ったとの声が多く寄せられ、佐々岡コーチへの不信感を募らせている。
新監督は「FA流出阻止」も必須業務
新監督に求められるのは、リーグ優勝はもちろんのこと、今オフのフリーエージェント(FA)の選手流出阻止である。今シーズン中に会沢翼捕手(31)と野村祐輔投手(30)が国内FA権を取得しており、権利を行使する可能性がある。一方で菊池涼介内野手(29)が昨オフにポスティングシステムを利用してのMLB挑戦を明言。主力3人の慰留は球団主導で行われると見られるが、新監督の求心力も引き留めの大きな要因となる。
10月17日にはドラフト会議が控えており、これに向けた来シーズンのチーム編成に着手しなければならない。鯉党からは「ウルトラC」として、今シーズン限りでヤクルトのコーチを退任した球団OBの石井琢朗氏(49)を新監督に推す声も。黄金期に陰りが見え始めた広島に対してファンは「新たな風」を求めている。内部昇格か外部からの招へいか。新監督は週明けにも決定する見込みだ。