第4次安倍再改造内閣の発足から、1か月弱がたった。前内閣が2019年6月に閣議決定した成長戦略では、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)といった第4次産業革命を背景に、方針を打ち出した。では、新内閣におけるIT戦略は、どのような位置づけになるのだろう。
J-CASTニュースは10月2日、今回初入閣した竹本直一情報通信技術(IT)政策担当大臣、内閣府特命担当大臣(科学技術政策・知的財産戦略・クールジャパン戦略・宇宙政策)に諸政策についての考えを聞いた。
(聞き手・構成/J-CASTニュース編集部 城戸譲)
味わいある文化と「便利さ」の融合
――まず初めに、これまでIT技術をどのように活用してきたか、お聞かせください。
パソコンを使い始めたのは、アメリカの大学が最初でした。帰ってきて1990年代中頃だったかな、インターネットという言葉が使われだして、時々見ておりました。最近はスマートフォンで撮った写真がキレイなので、よく使っています。何月何日に撮ったか、すぐわかるのは便利ですよね。これまで苦労した時系列での並べ替えとかが瞬時にできるのは、やはりIT技術の長所だと思っています。
――IT分野は世代や知識に関係なくコミュニケーションできるのが特徴です。その一方で、海外の閣僚を引き合いに出して、担当大臣の素質として、年齢や実務経験を重視する報道もあります。率直な考えをお聞かせください。
インターネットを扱うのが、めちゃくちゃ上手いといったことはありません。しかし、普段から周辺の人たちが使っているので、慣れ親しんでいます。また、年1回参加しているスイスのダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)では、第4次産業革命などが常に話題になっているので、違和感はないですね。
――大臣就任会見では「共栄」について触れていました。所管するクールジャパン戦略では、日本がこれまで培ってきた文化と、最新技術の「共栄」が重要になってきます。これから先の文化発展には、まずどこから着手すべきだとお考えですか。
ITは迅速に処理でき、手間を省く優位性があります。他方で、日本固有の文化の中には、味わいのあるものもあります。これらの文化が、IT技術の便利さと、どのように良い関係で融合できるかと、私の立場としては考えていく必要があるかなと思っています。
たとえば、印鑑は日本固有の文化だと思います。我々は使うことによって、ある意味の安心感や安堵感を得ますが、若い世代には「そんなもの要らないじゃないか。ITで全部できる」とおっしゃる方もいるので、両者の融合や共存・共栄を考えるべきだと思っています。
大阪万博で「あっと驚くもの」を...決め手はITに
――大臣は地元選出議員として、大阪万博の誘致に力を注いできました。万博が開催される2025年、IT技術はどのような形に発展していると思われますか。
数年後どうなっているかは想像がつかない。むしろ、想像がつかないくらい発展していないといけない。万博誘致は私が、政治家として一番取り組んだ課題ですが、本番をどういう中身にするかが、一番問題です。「あっと驚くもの」を作る時に決め手となるのは、やはりIT技術だと思います。
1970年の大阪万博は、東京オリンピック(1964年)と合わせて、日本が戦後の復興時代から高度成長へ移ったきっかけになりました。2025年の万博は、未来社会の展示会です。そのなかで活用できるのが、ITではないかなと考えています。来場者の顔認証をはじめ、あれやこれや考えると、夢があって面白いですね。
――半世紀前と同様に、来年の東京オリンピックから大阪万博にかけて、新たな時代へのきっかけとなる6年間ということですね。
非常にエキサイティングな時間です。日本にとって刺激があるし、世界から見ても日本は面白い国だと、魅力を感じてくれるんじゃないかと期待しております。これから東京オリンピックまで、毎週のようにイベントがあって、日本中がわいていきます。大阪万博にかけても、やっぱり「どういう出し物があるか」と盛り上がる。エポックメイキングなイベントになるでしょうね。
「日本の将来のかじ取り、責任の重大さ感じる」
――大臣就任から1ヶ月弱が経ちました。改めて抱負をお聞かせください。
私が担当する宇宙政策、科学技術、IT......すべて日本の国家戦略に関わる重要な分野です。これをどう伸ばしていくかが、日本の成長に大きく関わってきます。日本の将来のかじ取りですから、責任の重大さを感じています。
10年、20年後には、これらが重要なインタレスト(興味関心)になっていくことは間違いないです。そこへ向けて、しっかりとした見通しを立て、準備しなければいけない。宇宙も、原子力も、ITも、全部そうなるんじゃないかなと思っています。
先日も、NASA(米航空宇宙局)のジェームス・ブライデンスタイン長官から、月を周回する宇宙ステーションを一緒に作りたいと提案されました。中国は月の裏側へ行っていますが、アメリカも日本も行っていません。コンペティター(競争者)を念頭に置きながら、日本の得意分野を強化していきたいと思っています。